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日本人女性アスリートにおける疲労骨折発生のバイオマーカーを同定-慶大

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2018年12月28日 PM12:00

女性アスリートの疲労骨折を引き起こす「三徴」

慶應義塾大学は12月25日、日本人女性アスリートにおける疲労骨折発生のバイオマーカーを同定したと発表した。この研究は、同大医学部先進運動器疾患治療学寄附講座の宮本健史特任准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、国際科学誌「Scientific Reports」に掲載されている。


画像はリリースより

これまで、女性アスリートの疲労骨折は、いわゆる三徴と呼ばれる1:利用可能エネルギーの低下、2:視床下部性の無月経、3:骨粗しょう症、を背景に引き起こされることが知られていた。しかし、血液や尿に含まれるバイオマーカーは明らかになっておらず、生体内の物質を定量的に把握することが必要であると考えられていた。

バイオマーカーとして有用な血液・尿検体の4分子を同定

研究グループは、アスリートの疲労骨折を防止することを目的に、同大の体育会所属の女性部員56名を対象に、疲労骨折既往と、疲労骨折発生に関わると考えられる月経障害や食事制限、体重減少の既往との関連を調査。また、血液・尿検査によるバイオマーカーの同定を試みた。

その結果、13名23.2%が疲労骨折の既往があると答え、月経障害や体重減少、(脛骨の疼痛)の既往も、半数以上に認められることがわかった。これらの項目のうち、月経障害は疲労骨折発生の既往と有意に相関し、そのリスクを8倍に上昇させることが判明。加えて、疲労骨折の既往がある者が、新たな疲労骨折を起こすリスクも約5倍になることが示された。また、過密な練習の結果、運動による消費エネルギーが高いと疲労骨折を起こしやすくなることも示された。

血液・尿検体では、クレアチンキナーゼ()と乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)は、一般に運動の後で高値を示すことが知られているが、疲労骨折既往者では、その値が非骨折者に比べて有意に高く、また、骨形成マーカーとして知られるオステオカルシン()と低カルボキシル化オステオカルシン()の値が有意に低いことも明らかになった。これらのことから、CKとLDHの高値とOCとucOCの低値が疲労骨折の有効なバイオマーカーであることが示唆された。

研究グループは「今回の成果は、日本人女性アスリートの疲労骨折を防止する有用な情報であり、競技者のみではなく指導者を含めた競技関係者に対して、効果的な疲労骨折発生予防対策として役立つことが期待される」と、述べている。

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