■薬局の機能強化で新事業
厚生労働省医薬・生活衛生局の2019年度予算案は、前年度比0.6%減の89億9000万円となったが、薬剤師・薬局関係予算案は3億7300万円と増額を確保した。医薬品の申請手続きを全てオンライン化するための経費として、新規で3億0700万円を計上。薬局機能の強化・連携体制の構築に新規で2億1200万円を充て、薬剤師・薬局が地域で果たすべき役割や薬局間・医療機関等との連携体制を構築するためのモデル事業を実施する。
医薬・生活衛生局の予算案は、前年度比0.6%減となった。革新的な医薬品・医療機器への迅速なアクセス確保等に増額の16億1700万円を計上。その中で、革新的な医薬品の実用化促進に向け、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査体制の強化に新規で1億0800万円を充てる。先駆け審査指定品目の審査チームと、審査から信頼性保証までの承認に必要な工程を総括管理するコンシェルジュを拡充し、審査体制の強化を図る。
医薬品の申請・届出手続きをオンライン化する経費として、新規で3億0700万円を確保した。一部にとどまっていた医薬品の申請・届出手続きを全面的にオンライン化し、申請資料を紙媒体で提出することなくデータ送信できるようにすることで、行政手続きの簡素化や製薬企業などの負担軽減を図る。そのため、申請、審査システムを改修する経費として計上した。
MID-NET(医療情報データベース)の連携、拡充には増額の5億6000万円を確保し、臨床研究中核病院のシステムを連結し、医薬品の開発から安全対策まで一貫して大規模な医療情報を活用できる環境整備を目指す。
GMP査察体制の強化には1億2000万円を計上。都道府県が行うGMP査察にPMDA職員やベテラン薬事監視員が同行し、技術的な助言や指導を強化することで査察レベルを向上させるほか、医薬品製造所への無通告査察体制や製造所から収去した製品の試験検査体制の強化を図る。
さらに、新規で革新的医薬品生産技術の品質確保に700万円を充て、連続生産に関するGMP調査のあり方を整理し、GMP査察のガイダンスを作る。
一方、薬剤師・薬局関連予算は、増額の3億7300万円を確保した。新規で薬局機能の強化・連携体制の構築に2億1200万円を計上。薬機法の見直し案が固まったことを受け、薬剤師・薬局が地域で果たすべき役割や薬局間・医療機関等との連携体制を構築するためのモデル事業を実施するほか、先進・優良事例を集めた事例集などを作成し、地方自治体と情報共有することにより、かかりつけ薬剤師・薬局の取り組みを推進する。概算要求時点で要求していた医療機関の薬剤師の卒後研修を行うモデル事業は認められなかった。
電子処方箋の効果的・効率的な仕組みの調査には、新規で500万円を計上。全国的な保健医療情報ネットワークの本格稼働に合わせ18年度に実施する実証事業の結果を踏まえ、より効果的・効率的な電子処方箋の仕組みを検討する検討会経費として盛り込んだ。
新規で全国薬局機能情報提供制度に600万円を計上し、地域住民への薬局機能の見える化を推進するため、全国統一のシステムを設計、運営に向けた調査を実施する。
薬局医療安全対策推進事業費も8389万円と大幅な増額を確保した。調剤報酬の地域支援体制加算の算定要件の一つとなったことを受け、ヒヤリ・ハット事業への参加薬局数の大幅な増加を見込んだ措置として盛り込んだ。