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新規認知機能改善薬候補BPN14770のライセンス契約と出資契約締結-塩野義ら

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2018年12月25日 AM11:30

脆弱X症候群とアルツハイマー型認知症を対象に研究開発

塩野義製薬株式会社は12月19日、認知機能改善薬の開発候補品BPN14770の導入に関するライセンス契約および出資契約を米Tetra Discovery Partners, Inc.(Tetra社)との間で締結したと発表した。

Tetra社が創製した開発候補品BPN14770は、記憶形成に関わるPhosphodiesterase 4D(PDE4D)を標的にしており、ネガティブアロステリックモジュレーターとしてPDE4D活性を調節することで、既存のPDE4D受容体阻害薬で見られる吐気等の副作用を回避しながらの認知機能改善が期待されている。

非臨床試験においては、脆弱X症候群における神経結合の成熟を促進したり、アルツハイマー病において障害される神経結合を保護することが明らかにされており、認知機能低下を伴うさまざまな疾患(、アルツハイマー型認知症ならびにその他の認知症、学習障害、、統合失調症等)への効果が期待されている。現在、P1単回投与試験およびP1反復投与試験が完了しており、高齢者における認知機能向上効果が確認済みだという。

FDAよりオーファン指定を受け、脆弱X症候群患者のP2試験も実施中

BPN14770の効果が期待されている脆弱X症候群は、FMR1遺伝子と呼ばれる遺伝子の異常により、幼少期から知能の障害などがみられる疾患。発症の割合は人種によらず、男性では約7,000人に1人、女性では約1万1,000人に1人と推定されている。有効で安全性の高い治療薬はなく、大きなアンメットメディカルニーズが残されている。

現在Tetra社は、米国においてFDAよりオーファン指定を受けた脆弱X症候群患者を対象に、P2試験を実施中で、今後、両社は同疾患およびアルツハイマー型認知症を対象疾患として、BPN14770の研究開発を進めていくとしている。

今回の契約締結により、同契約に基づく開発候補品の日本、韓国、台湾における独占的開発・製造・販売権を塩野義製薬が獲得。同社は、ライセンス契約締結に伴う一時金500万ドルおよび出資契約締結に伴う出資金3500万ドル、ならびに今後の開発進展や製品上市後の販売額などに応じたマイルストン1億2000万ドル、製品上市後の販売額に応じたロイヤリティをTetra社に支払うとしている。

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