厚生労働省は18日、2017年度の保険医療機関と保険薬局の指導・監査等の実施状況を公表した。神戸市の1薬局が保険指定の取り消し相当処分となったものの、指定取り消しを受けた薬局はなく、保険薬剤師の登録取り消し処分となった薬剤師もいなかった。指導・監査による調剤報酬の返還額は約3億円で、前年度とほぼ同額だった。
調剤報酬に関わる個別指導を実施した保険薬局は1675件、薬剤師は2440人、新規個別指導を行った保険薬局は2356件、薬剤師は3323人、集団的個別指導を行った保険薬局は3827件、適時調査を行った保険薬局は1件、監査を行った保険薬局は8件、薬剤師は40人だった。
保険指定取り消し相当処分となったのは、神戸市の「オリーブ薬局」で、調剤報酬の返還額は196万4000円。無資格者が調剤していたにもかかわらず、薬剤師が調剤したとして調剤報酬を不正請求していた。昨年10月31日付で既に廃止していたことから、同年11月13日付で取り消し相当の扱いとした。
また、医科と歯科を合わせると58施設、127人に監査を実施し、指定取り消し相当を含めて27施設の指定と18人の登録を取り消した。指定取り消しは前年度から1施設増加し、登録取り消しは2件減少。
不正内容は、架空請求や付増請求など不正請求がほとんどを占めた。取り消し処分のきっかけは、保険者、医療従事者、医療費通知に基づく被保険者からの通報が21件と、取り消し件数の過半数を占めた。
医療機関からの返還金額は約72億円(指導で約31億3000万円、適時調査で約36億8000万円、監査で約4億円)で、前年度より約17億円減少した。内訳は、医科が約65億円、歯科が約4億円、薬局が約3億円。厚労省は「適時調査を複数回受ける医療機関が増え、施設基準要件の理解がある程度進んだことが返還額の減少につながった」としている。