根本匠厚生労働相と麻生太郎財務相は17日、来年度予算編成に向けた閣僚折衝を行い、社会保障関係費の伸びを4800億円程度に抑えると共に、来年10月の消費税率10%への引き上げに伴い、診療報酬本体を0.41%(国費200億円程度)引き上げる診療報酬改定を同時に行うことで合意した。薬価は0.51%(290億円程度)引き下げる。そのうち実勢価改定分は0.93%の引き下げとなり、国費で490億円程度の財源を捻出した格好だ。これらにより、社会保障関係費の自然増を概算要求段階の6000億円から1200億円程度圧縮する。
厚労省は、2019年度予算の概算要求段階で、高齢化の進展などに伴って年金や医療費などが増える社会保障費の自然増を6000億円と見込んでいたが、政府の経済財政諮問会議等は、来年度予算編成で社会保障関係費の伸びを5000億円以下に抑えるべきと提言しており、1000億円程度の圧縮が求められていたが、それを上回る圧縮を実現した。
閣僚折衝では、消費税率10%への引き上げに伴う診療報酬改定を実施することで合意。医療機関が負担する仕入税額の相当額を補填するため、診療報酬本体を0.41%引き上げることが決まった。改定率は、医科0.48%(170億円)、歯科0.57%(20億円)、調剤0.12%(10億円)。消費税対応のため、通常改定時の配分比率とはなっていない。
薬価は、実勢価改定分として0.93%引き下げた上で、消費税対応分として0.42%(国費200億円程度)を上乗せし、トータルでは0.51%の引き下げとなる。
その他、介護納付金の総報酬割拡大(610億円)、後期高齢者保険料軽減特例の見直し(170億円)などの対応を行うことで社会保障関係費の自然増を圧縮する。
一方、自然増の伸びを圧縮する対応とは別枠で、社会保障の充実等に公費で8100億円を措置することも決定した。幼児教育・保育無償化や介護人材の処遇改善などのほか、医療ICT化促進基金(仮称)の創設に300億円を充てる。