潜在的に多いと考えられる高齢者の自転車傷害事故
東京都健康長寿医療センターは12月10日、自転車を利用している高齢者のうち、自転車利用時以外での転倒経験がある高齢者は、将来の自転車利用時の転倒発生率が5.6倍高いことを明らかにしたと発表した。この研究は、同センター研究所の藤原佳典研究部長らの研究グループによるもの。研究成果は、国際雑誌「Journal of Epidemiology」オンライン版に掲載されている。
研究グループによるこれまでの調査から、日本の都市部高齢者の6割が自転車を日常的に利用しており、そのうち、通院が必要な傷害を負った高齢者(自転車運転高齢者の約1割)の約7割が警察への通報をしておらず、高齢者の潜在的な自転車傷害事故が多いことがわかっていた。しかし、このような傷害事故の一番の原因と考えられる自転車利用時の転倒のリスク要因は不明だった。
自転車利用時以外での転倒経験と高BMIがリスク要因に
そこで研究グループは、2013年と2016年に板橋区で行った健康調査「お達者健診(代表:大渕修一研究部長)」に参加した395名の自転車利用者のデータを用いて、自転車転倒事故の特徴とリスク要因を調べた。
その結果、以下の4点が明らかとなったとしている。
1)自転車を利用する高齢者の16.4%が3年の間に新たな転倒を引き起こしていた。
2)2013年調査時に転倒を経験していた高齢者のうち65.4%は2016年調査時にも転倒を経験していた。
3)新規転倒高齢者の3人に1人は病院で手当てが必要な重篤な怪我を負っていた。
4)自転車利用時の新規の転倒発生に関連する要因は、自転車利用時以外での転倒経験と高BMIであった。
高齢期の自転車利用は外出を促進する効果的な移動手段ではあるが、自転車での転倒は致傷率が高い事故につながる。研究グループは、「自転車利用時を問わず転倒の経験がある方は注意が必要であるといえる」と述べている。
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・東京都健康長寿医療センター プレスリリース