■遅い価格提示に苦言も
厚生労働省の「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」は7日、今年度上期の医療用医薬品の流通状況に関する報告を厚労省から受けた後、下期に向けた課題と対策を議論した。4月の流通改善ガイドライン施行後の状況報告は初めて。納入価率の上昇が仕切価率の上昇を上回ったことで一次売差のマイナスが前年度より改善したほか、単品単価取引率も大幅に上昇し、委員からは改善を概ね評価する声が相次いだ。一方、病院や調剤薬局など医療機関側からは、納入価の上昇や卸売販売業者側の価格提示時期の遅さに対する苦言も出た。
この日の懇談会では、4月の「流通改善ガイドライン」施行後となる今年度上期(4~9月)における医療用医薬品の流通状況を厚労省が報告後、下期に向けた課題と対策について意見交換した。
上期の仕切価率は前年度から0.6ポイント増加。納入価率も2.0ポイント増加したことから、一次売差のマイナスも前年度から縮小した。また、単品単価取引の割合も200床以上の病院で28.2ポイント増加、調剤薬局では34.2ポイント増加と、大幅な上昇が見られた。一方で、今年9月時点での妥結率は2016年同月と比べて1.4ポイント減少したものの、9割を超える水準を維持している。
これらの報告内容に対して、委員からは流通状況の改善を概ね評価する声が相次いだ。ただ、小山信彌委員(日本私立医科大学協会病院部会担当理事)は、医療機関の立場から、「一次売差マイナスを解消しようとしている中で仕切価率が上がり、その結果として、それを上回る割合の納入価を病院などの医療機関が負担しなければならなくなった」と指摘。単品単価取引率の上昇に対しても「病院が必死になって取り組んだ結果だ。大変に苦労していることは理解してほしい」と述べた。
杉本年光委員(日本保険薬局協会常務理事)は、卸売販売業者側から薬局に対する価格提示の時期について、「9月中旬に提示され、月末までに決める必要があるというのはいくら何でもシビアだという声が出ている。もう少し余裕をもった提示と交渉であれば納得できる」と苦言を呈した。
この意見に対して、中原岳志委員(日本医薬品卸売業連合会卸・薬価問題検討委員会委員長)は「価格提示は早急に行うよう伝えており、9月中旬まで提示しないというのは普通ならあり得ない。そのような問題があれば解決したい」と前向きな対応を行う考えを示して応じた。