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生物学的製剤で日本初の適応 グセルクマブは掌蹠膿疱症治療をどう変えるか-ヤンセンがメディアセミナー開催

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2018年12月12日 PM03:09

歩行時に「画びょうを全体重で踏むくらいの」痛み

2018年11月に、グセルクマブが掌蹠膿疱症治療薬として、生物学的製剤では日本初の適応承認を取得したヤンセンファーマ株式会社は、12月10日に都内でメディアセミナーを開催。日本大学医学部皮膚科学系皮膚学分野教授の照井正氏が最新の掌蹠膿疱症の臨床の話題について講演を行ったほか、掌蹠膿疱症患者の鈴木久代さんとパネルディスカッションを行った。


日本大学医学部皮膚科学系皮膚学分野教授
照井正氏

(Pustulosis Palmo-Plantaris:PPP)は、手掌や足底に小水疱を混ずる無菌性膿疱を繰り返し生じる慢性炎症性皮膚疾患で、手足以外の皮膚では、爪甲周囲、下腿、体幹に病変が及ぶことがあるほか、外的な物理的刺激に反応して病変が異なる部位に生じるケブネル現象がしばしば見られる。また、患者の約4~30%で骨関節症状である掌蹠膿疱症性骨関節炎(Pustulosis arthro-osteitis:PAO)を伴う。また、掌蹠膿疱症と関連し、臨床像で重なる部分も多い骨関節症状にSAPHO症候群があるが、主な病因や病態は掌蹠膿疱症と異なると考えられている。厚労省の全国レセプトデータから、国内のPPPならびにPAOの患者数は約14万9000人、有病率は0.12%と推計される。また、男女比は1:1.88、患者年齢は50才代がピークであるとされている。常に外部から見られる手掌に病変ができることに加え、足底では歩行時に「5~6個の画びょうを全体重で踏むくらいの」(鈴木さん)痛みが生じるため、労働生産性および活動性が低下し、QOLが大きく損なわれる。

照井氏「グセルクマブが掌蹠膿疱症の治療戦略を変える」

パネルディスカッションでは鈴木さんが30年以上にわたる闘病の様子を語った。「現在67歳ですが、最初に症状が出たのが34歳の時。左足に水疱ができ、やがて右足にも症状が出て、2~3年後には両足が膿疱だらけに。医療機関を受診し、掌蹠膿疱症と診断されました。当時は、外用薬、内用薬、注射剤などいろいろな治療を試しましたが、症状は良くならず、多くの病院を渡り歩き、やがては自己流の民間療法を試すまでに。47歳の時には手にも症状が出始め、その他にもお尻やわき腹、ふくらはぎにも広がり、仰向けに寝ることもままならない状況になりました」と鈴木さん。ストレスが限界まで強くなり、精神科にも通院したとのこと。照井氏は「人に見られる、ということがスティグマになり、生活の質を落としてしまう」と掌蹠膿疱症患者のQOLが大きく低下する背景を分析する。

掌蹠膿疱症の病因は完全には明らかになっていないが、2000年以前では扁桃炎や歯性病巣などの病巣感染説や喫煙との関連、金属アレルギー説などが病因として推定されていた。「病巣感染や喫煙、金属アレルギーについては、”病因”というよりも“悪化因子”として考えたほうがスムーズ」と照井氏。近年では、PPP患者の病変部と血清中に乾癬と類似したサイトカインプロファイルが示されたことから、IL-23/Th17が関与する自然免疫異常説も挙がってきた。

「グセルクマブの登場でPPPの治療戦略は大きく変わる」と照井氏。「従来の治療戦略ではPAOを併発している患者に対し、保険適応外ながらMTXやシクロスポリン、TNF-α阻害薬を使用してきたが、十分な効果があるとは言えなかった。従来の治療に抵抗する症例に対し、グセルクマブは大きな役割を果たすであろう」と語った。

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