「小細胞肺癌」と「NTRK融合遺伝子陽性の固形がん」を対象に
中外製薬株式会社は12月6日、抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「テセントリク(R)点滴静注1200mg」(一般名:アテゾリズマブ(遺伝子組換え))および開発中のROS1/TRK阻害剤「エヌトレクチニブ」が、それぞれ「小細胞肺癌」「NTRK融合遺伝子陽性の局所進行又は遠隔転移を有する固形がん」を対象に、厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けたと発表した。
肺がんは組織型により小細胞肺がんと非小細胞肺がんに大別され、小細胞肺がんは全肺がんの約10~15%を占める。小細胞肺がんは腫瘍の増殖能が高く、早期に広範な転移が生じることを特徴としている。NTRK融合遺伝子とは、NTRK遺伝子と他の遺伝子とが染色体転座の結果、融合してできる異常な遺伝子。NTRK融合遺伝子から作られるTRK融合キナーゼにより、がん細胞の増殖が促進されると考えられている。NTRK融合遺伝子の発生は非常に稀ではあるが、成人や小児のさまざまな固形がんや肉腫で確認されている。
エヌトレクチニブは国内で国際共同第2相臨床試験を実施中
小細胞肺がんは進行が早く予後不良な、アンメットニーズの高い疾患だ。テセントリクは、免疫チェックポイント阻害剤として初めて、小細胞肺がんの1次治療として有効性が確認されており、新しい治療選択肢として治療に貢献できることが期待されている。また、エヌトレクチニブはNTRK融合遺伝子を有する固形がんに対して、がん種を問わず効果を示しており、次世代シーケンサーを用いた遺伝子診断と組み合わせることで、新たな個別化医療の実現を目指しているという。
なお、テセントリクは、国内で小細胞肺がんを対象とする国際共同第3相臨床試験(IMpower133試験)を含め、肺がんを対象に7本の臨床試験を実施中で、他のがん種では12本の臨床試験を実施中。エヌトレクチニブは、国内で国際共同第2相臨床試験(STARTRK-2試験)を実施している。
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・中外製薬株式会社 ニュースリリース