■平均乖離率は約7.2%
厚生労働省は5日、医療用医薬品の現行薬価と市場取引価格の開きを示す平均乖離率が、今年9月取引分で約7.2%だったとする薬価本調査の速報値を、中央社会保険医療協議会総会に報告した。来年10月の消費税率10%への引き上げに対応して薬価を上乗せするために臨時的に実施したもので、前回の昨年調査から1年経過した時点で、薬価の開きは昨年比で1.9ポイント縮小。乖離率は7%台となった。流通安定のための調整幅2%を差し引くと、市場実勢価に基づく薬価引き下げ率は約5.2%となり、これに消費税率8%から10%への引き上げ分2%を上乗せすると来年10月の消費税改定では約3.2%の薬価引き下げが行われる。
今回の調査は、今年9月取引分を対象に、販売サイドから11月6日までに報告があった取引価格を集計した。
市場規模の大きい主な薬効群別の薬価の乖離率を取引金額上位で見ると、内用薬では「高脂血症用剤」が12.2%で最も大きい乖離率となった。次いで「血圧降下剤」の11.7%、「消化性潰瘍用剤」の10.8%、「糖尿病用剤」の8.6%、「精神神経用剤」の8.1%、「他に分類されない代謝医薬品」の8.0%などの乖離率が大きく、内用薬全体では8.2%となった。
注射薬では、「その他の消化器官用薬」が7.0%、「その他のホルモン剤」(抗ホルモン剤を含む)が6.5%、「他に分類されない代謝性医薬品」が6.0%、「その他の腫瘍用薬」は4.3%となり、注射薬全体では5.2%だった。
外用薬では「鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤」が7.6%、「眼科用剤」が6.8%、「その他の呼吸器官用薬」が6.0%、外用薬全体で6.6%だった。
今回の消費税改定では、補正加算として基礎的医薬品と最低薬価ルール、新薬創出等加算を適用するため、引き下げ率が変動する可能性がある。新薬創出等加算の累積額の控除は20年度改定で実施する。
後発品の数量シェアは約72.6%で、昨年約65.8%から1年間で6.8ポイント上昇した。
この日の中医協で厚労省は、材料価格調査の結果も報告した。特定保険医療材料の基準収載価格と市場実勢価格の平均乖離率は約4.2%で、昨年の前回調査から2.8ポイント縮小した。