■来年3月に中間まとめ
厚生科学審議会臨床研究部会は5日、臨床研究・治験活性化の方向性について議論を開始した。「臨床研究・治験活性化5カ年計画2012」の総括を受け、積み残しの課題を改めて整理。人材確保と育成、小児疾患・難病等の開発が進みにくい分野の臨床研究の促進が不十分として、同部会として来年3月に一定の考え方を中間的にまとめる。この日の部会では、研究支援人材としてのCRCの定着に言及が相次ぎ、「CRCが活躍できる環境整備が必要」などの意見が出た。
昨年10月の部会では、臨床研究・治験活性化5カ年計画2012を総括。同計画について活性化策の集大成と位置づけ、今後は随時検討していくことを確認した。ただ、現時点で国の活性化策が存在しないことから、改めて今後の臨床研究・治験活性化の方向性をまとめることにした。
この日の部会では、厚生労働省が臨床研究の拠点のあり方、研究支援人材の育成や活躍できる環境整備、小児・希少疾患、難病等の治験が進みにくい分野の臨床研究、国民が臨床研究・治験を理解し参画することを促す方策などの論点を提示。来年3月を目指す中間取りまとめに向け議論をスタートさせた。
渡部歌織委員(東京大学病院臨床研究支援センター主任)は、CRCの定着状況が不明で、依然としてキャリアラダーがない問題点を指摘。「CRCが定着でき、力を発揮できれるようになればもっと他施設の支援もできる」と訴えた。
日本臨床薬理学会認定CRCにキャリアラダーの有無の調査結果も紹介。「ある」が2割にとどまったとし、「ステップアップしていく道がまだ整っていない。そこを活性化できれば」とCRCのキャリア環境整備を要望した。
田島優子委員(さわやか法律事務所弁護士)も「CRCを採用してもすぐに辞めてしまうと聞いている」と述べ、現状の待遇や労働環境に問題意識を示し、「CRCに十分活躍してもらえる環境を整備する必要がある」と提言した。楠岡英雄座長(国立病院機構理事長)も「人材を育てた後のキャリアパスをどうしていくか考えるべき」と応じた。
また、臨床研究中核病院による他機関の支援、公益機能強化の拡大策についても議論。多くの委員から、「臨床研究中核病院がどういう業務を行っているのか示してほしい」と要望が出たことから、次回以降に臨床研究中核病院のヒアリングも含めてデータを共有することになった。