日本企業として史上最高額の買収にゴーサイン
武田薬品工業株式会社は12月5日、大阪市住之江区のインテックス大阪で、5月に発表したアイルランドのシャイアー買収に伴う新株発行と新任社外取締役候補3人の選任の2つの議案を議決する臨時株主総会を午前10時から開催。開始から2時間を超えた午後12時20分過ぎから採決が開始され、全議決権に占める議決権行使率は約68%、このうち少なくとも87~88%以上が賛成。議案承認に必要な3分の2以上の賛成が得られたとして、2つの議案が可決された。これにより日本企業として史上最高額となる約6兆8000億円の買収に着手することが決定的となった。
これに先立つ3日、今回のシャイアー社買収に反対する創業家や武田OBなど約130人が参加する「武田薬品の将来を考える会」を代表して創業家一族の武田和久氏(武田薬品元国際営業部長)と同会の事務局を務めるファーマセット・リサーチ代表取締役の三島茂氏が日本外国特派員協会で会見。この中で武田氏は反対派には武田國男元社長も参加していると言及し、三島氏は「(反対派株主の議決権総数は)推定で25%前後」と話していたものの、議案の阻止には届かなかった。
会場を後にする「武田薬品の将来を考える会」
武田和久氏(撮影:村上和巳)
今回の買収スキームは、シャイア-株式1株に対し30.33ドルに加え、武田薬品株0.839株あるいは新規米国預託証券(ADS)1.678株を対価として支払うというもの。今回可決された1号議案では、これを踏まえ2018年10月23日時点のシャイアー発行済み株式総数に買収完了までに発行あるいは発行する可能性のある株式数を加え、それを基に計算した7億8070万3990株を上限とした普通株式の新規発行が可能になる。
一方可決された第2号議案により、シャイアー社の社外取締役を務めるイアン・クラーク氏、オリビエ・ボユオン氏、スティーブン・ギリス氏の3氏が社外取締役となる。
クラーク氏は現在ロシュグループの創薬の中心をなすジェネンテック社の元取締役、ボユオン氏はグラクソ・スミスクライン(GSK)の欧州法人元取締役やアボット社のエグゼクティブ・バイス・プレジデント、ギリス氏はアムジェンに買収されたイミュネクス社、GSKに買収されたコリクサ社の創業者。
武田薬品側では3氏の選任理由について「シャイアー社との統合をより円滑、迅速かつ効果的に進めることができるとともに、当社がグローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーとなるための変革をさらに加速することに貢献いただけるものと考えている」としている。