初任給の調査は、就職者8043人のうち6280人(卒業生の78.1%)からの回答をもとに集計したもの。初任給は本俸を原則としつつ、職域・職場による解釈が異なる場合があることから、全体の傾向についての解析結果を示している。
初任給が最も高額な職種はドラッグストアなどの医薬品販売業で、昨年同様、男女共に「30万円以上」が最多となった。引き続き売り手市場を背景に高止まりが続いている。
就職者が最も多い保険薬局の初任給は「16万~18万円」から「30万円以上」まで幅が見られたが、男性では「30万円超」が最多となり、全体の23.2%を占めていた。
保険薬局の初任給もドラッグストアと同様に高止まりが続いているが、昨年と比べて「30万円以上」の割合は24.9%からわずかに減少した。
さらに、「24万~26万円」の割合が減少し、「26万~28万円」の割合が増えており、雇用側の給与格差の調整が進んでいることが考えられた。
一方、女性では「26万~28万円」が最多で、次いで「24万~26万円」「30万円以上」となった。女性は昨年と比べて低い給与分布の「24万~26万円」の割合が3.5ポイント低下し、高い給与分布の「30万円以上」の割合が5ポイント上昇していることなどから、同協議会では「男女の給与格差が小さくなっていることがうかがえる」と分析している。
保険薬局の初任給で男女合わせると、分布が多かったのは「26万~28万円」が22.7%、「30万円以上」が21.6%、「24万~26万円」が20.1%、「28万~30万円」が11.5%と、約8割近くが24万~30万円以上の範囲にあった。最も多い分布がより高い給与にシフトし、30万円以上の割合も昨年より増えており、昨年に比べて初任給はさらに上昇傾向を示す状況がうかがえる。
国立大学病院など国立系病院薬局の初任給は、男女とも「20万~22万円」が最も多い傾向は変わらず、男性の56.8%、女性の58.0%と半数以上を占めた。次いで「22万~24万円」が多く、昨年より高い給与の分布にシフトした。公務員給与の初任給も「20万~22万円」と考えられ、国立系病院薬局の就職者の初任給は、約半数近くが「20万~22万円」の範囲にある例年の傾向となった。
公立大学病院や自治体系病院薬局の初任給について見ると、男性では「20万~22万円」「22万~24万円」の割合がほぼ同率だったが、女性では「22万~24万円」の割合が最も多く、「20万~22万円」の約1.5倍に達するなど給与は上昇傾向にある。私立大学病院・一般病院薬局の初任給は、「22万~24万円」が最も多かった。
一方、製薬企業など医薬品関連企業の初任給は、職種によってバラツキが大きいものの、ほとんどが「20万~30万円以上」の範囲にあった。
開発・学術職、医薬情報担当者(MR)、研究・試験・製造職は共に「24万~26万円」が最も多かったが、研究・試験・製造の女性については、「22万~24万円」の割合が最も多く、開発・学術、MR、研究・試験・製造では、初任給が「30万円以上」となった人も見られた。
<訂正>
記事中、国立系病院薬局の初任給は、男女とも「20万~22万円」が最も多く、次いで多いのは「22万~24万円」の誤りでした。お詫びして訂正します。