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脳出血超急性期の積極的な降圧療法、血腫拡大は抑制も心・腎有害事象が増加-国循

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2018年12月03日 AM11:15

研究者主導国際試験ATACH-2からのサブ解析を発表

国立循環器病研究センターは11月28日、急性期脳出血症例に対する降圧療法の効果を検証する臨床試験「Antihypertensive Treatment of Acute Cerebral Hemorrhage (ATACH)-2試験」に基づくサブ解析研究の結果を発表した。この研究は、国循の豊田一則副院長、古賀政利脳血管内科部長、山本晴子臨床試験推進センター長らの研究チームが、海外研究者と共同で行ったもの。研究成果は、米国神経学会機関誌「Annals of Neurology」オンライン版に掲載されている。

脳出血急性期の積極的な降圧療法の科学的エビデンスはまだ十分といえない。2016年に「New England Journal of Medicine」に掲載されたATACH-2試験の解析結果でも、死亡または高度機能障害の発生率は積極的な降圧療法を行った群と通常の降圧療法を行った群のどちらも38%程度であり、積極的降圧による転帰改善効果を認めなかった。

国循の研究チームは国内13施設の協力を得て、米国、中国、台湾、韓国、ドイツの研究者らとともにATACH-2試験に参加。今回のサブ解析では、ATACH-2試験で降圧療法後の24時間に測定された収縮期血圧レベルの平均値(到達収縮期血圧値)を求め、この血圧レベルと3か月後死亡・高度機能障害や早期血腫拡大(変化量6mL超)、7日以内の心血管系および腎臓系の有害事象(非軽症)との関連を調べた。ATACH-2試験に登録された1,000例(うち日本人288例)の到達収縮期血圧値(中央値で129.8mmHg)によって5群に分け、解析を行った。

死亡・高度障害、全体的に血圧との関連は不明瞭

その結果、死亡・高度障害は、140~150 mmHgが有意に高率を示したが(オッズ比1.62、95%信頼区間1.02-2.58)、全体的に血圧との関連は不明瞭だった。血腫拡大は血圧レベルと正の相関関係を認め、とくに140 mmHg以上の2群で有意に高率に認めた。心・腎有害事象は血圧レベルと負の相関関係を認め、とくに140 mmHg以上の2群で有意に低い割合だったという。


画像はリリースより

今回のサブ解析により、脳出血超急性期に急激に血圧を下げることで後遺症につながる血腫の拡大は抑制されるものの、血圧が低くなるほど心・腎有害事象が増えるため、全体として死亡や高度障害を減らせない可能性が示された。そのため、降圧に伴う全身循環の変化に十分に配慮して脳出血急性期治療を行う必要性が考えられる。なお、ATACH-2試験からは、他にも多くのサブグループ解析が計画され、国循の研究チームもその幾つかを担当している。研究チームは、「今後の更なる解析結果を経て、真に日本人に有効な急性期脳出血治療法が解明されてゆくことが期待される」と述べている。

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