認知症対応型共同生活介護施設での配薬負担軽減に
東北大学は11月28日、介護施設向けの配薬支援装置「HSS-10」(実用新案登録済)を研究開発し、2018年12月3日より販売を開始すると発表した。この研究開発は、同大大学院医学系研究科医学情報学分野の鈴木亮二助教と株式会社石神製作所が共同で行ったもの。
画像はリリースより
鈴木助教は、2012年から産学連携で在宅高齢者の服薬忘れ改善と見守りを目的として、服薬支援装置の開発を行ってきた。その成果として、2015年に「見守り機能付き服薬支援装置ふっくん(R)」を石神製作所から発売し、テクノエイド協会の福祉用具コードも取得した。
見守り機能付き服薬支援装置ふっくんは、在宅患者を目的とした製品だが、施設スタッフの少ない認知症対応型共同生活介護施設(グループホーム)で配薬業務を軽減する配薬支援装置のニーズがあることと、国際福祉機器展などへの展示の際に施設向け装置の問い合わせがあったことから、2017年から在宅患者向け服薬支援装置の技術を流用し、施設向け配薬支援装置の研究開発に取り組んできた。
配薬時間を1日平均3.5分短縮、配薬忘れ・間違いも減少
今回販売される施設向け配薬支援装置は、ロッカータイプ(幅900m×奥行400mm×高さ770mm、重量約50kg)で、グループホームの事務所などの職員が管理しやすい場所に設置。定時に服薬する必要のある入所者のために、1回の服薬ごとにまとめられた薬剤(一包化薬剤)を薬剤ドラムに約3週間分巻きつけて装置にセットする。
一包化できない漢方薬や目薬などは、薬剤ドラム脇の薬剤ボックスに収納。薬剤ドラムは10本備えているので、グループホーム入所者全員分(9名分)の薬剤をロッカータイプの同装置に全て収納し、管理することができる。入所者氏名、服薬時間は、装置前面の操作パネルから設定可能。服薬時間をオルゴールと操作パネルで職員に知らせるため、配薬忘れ、配薬の人違いや配薬時間の間違いをなくし、簡単に服薬管理ができるという。
実際に、配薬支援装置を3か月間、岩手県花巻市のグループホームで使用してもらい、使用前後でアンケート調査を行った結果、配薬時間は1日平均3.5分短縮され(使用前:平均14.2分、使用後:平均10.7分)、配薬忘れ、配薬の人違いや配薬時間の間違いをそれぞれ低減されたという。
研究グループは、「今回発売される施設向け配薬支援装置を導入することによって、職員の配薬業務が大幅に軽減され、配薬時間にかかっていた時間を入所者のケアに使うことができるようになると期待される」と述べている。
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・東北大学 プレスリリース