厚生労働省医薬・生活衛生局総務課の安川孝志薬事企画官は、今年2月に実施した薬剤師国試の結果や、厚生科学審議会・医薬品医療機器制度部会での薬機法見直しに向けた議論の経過を説明した後、18歳人口が今後、さらに減っていく中で、「現在の薬学部の定員が1万1000人、薬剤師国試の合格者がここ数年で9000人を超えていることをどう考えるか」を「関係者の共通の課題」に挙げた。
さらに、文部科学省が公表しているデータなどをもとに、ストレート合格できている学生が「意外と少ない」ことや、薬学教育評価機構の第三者評価結果でも、「国試対策を重視しすぎている」「卒業研究が疎かになっている」といった、「薬学教育として疑問だと思われる結果が散見される」ことも問題視。
薬学教育に6年制が導入されてから12年が経過し、薬剤師に求められる役割が変化している中で、今後の6年制教育の「あり方を考える時期に来ている」と問題提起した。
日本病院薬剤師会の木平健治会長は、6年制に移行する際の目的の一つが、「研究マインドを持った薬剤師の養成」だったことを指摘した上で、「国試対策に多くの時間を費やし、研究をしないということになっているのであれば、もう一度原点に立ち帰るべき」とし、大学での教育内容の充実を訴えた。
これに対し、日本私立薬科大学協会の井上圭三会長は、「国試のあり方も含め、総合的に考えないといけない」としたが、日本薬剤師会の山本信夫会長は、教育内容が不十分なため、実務実習を行うための条件として、前年度に合格していなければならない薬学共用試験(CBT、OSCE)ですら通過できない学生がいる実情を踏まえ、「大学の入学定員をどうするのかも含めた検討が必要」と主張した。
この日の会議では、日病薬の石井伊都子理事が、薬物治療の高度化・複雑化、薬局・病院における薬剤師の役割の変化などを踏まえ、実習期間の延長と内容充実、卒後の初期研修導入などを提案した。
厚労省の安川氏は、病院側の受け入れ体制が異なるほか、学生の学力にも差がある状況などを踏まえ、「一足飛びに卒後研修ではなく、現在の6年制教育の実情をしっかりと把握した上で、受け入れ体制も含めた卒後研修のあり方を議論する必要がある」とした。