有効な治療手段が確立されていない複合的な代謝異常症候群
小野薬品工業株式会社は11月27日、グレリン様作用薬であるアナモレリン塩酸塩(ONO-7643)について、「がん悪液質における体重減少及び食欲不振の改善」の効能・効果で、国内製造販売承認申請を行ったと発表した。
がん悪液質は、がんに伴う体重減少(特に筋肉量の減少)や食欲不振を特徴とする複合的な代謝異常症候群。患者のQOLや予後などに対して大きな不利益を与え得ることがわかってきているが、未だ有効な治療手段は確立されていない。
がん悪液質の患者で体重・筋肉量・食欲の増加効果
アナモレリンは、選択的かつ新規の経口グレリン様作用薬。グレリンは、主に胃から分泌される内在性ペプチドで、グレリンがその受容体に結合すると、体重、筋肉量、食欲および代謝を調節する複数の経路を刺激する。アナモレリンは、がん悪液質の患者における体重および筋肉量の増加並びに食欲の増加効果を示しており、がん悪液質の患者に対する初めての治療薬となることが期待されている。
今回の申請は、主に国内でがん悪液質患者を対象に実施した2つの試験結果に基づいている。1つは、非小細胞肺がん患者を対象にプラセボを対照とした多施設共同二重盲検無作為化並行群間比較の第2相臨床試験(ONO-7643-04試験)、もう1つは、大腸がん、胃がんおよび膵臓がん患者を対象にした多施設共同非盲検非対照の第3相臨床試験(ONO-7643-05試験)だ。
なお、小野薬品は、スイス・ヘルシン社(Helsinn Group企業)と締結したライセンス契約に基づき、アナモレリンについて、日本・韓国・台湾で独占的に開発・商業化する権利を取得している。
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・小野薬品工業株式会社 ニュースリリース