高濃度水素水の血管内皮細胞に対する老化抑制効果を検討
東京都健康長寿医療センターは11月21日、高濃度水素水の継続的な飲用が血管老化を予防するという知見を得たと発表した。この研究は、同センター研究所の大澤郁朗研究副部長、池谷真澄研究員らの研究グループが、東洋大学生命科学部、日本医科大学と共同で行ったもの。研究成果は「Scientific Reports」に掲載されている。
画像はリリースより
血管の最内側に位置する血管内皮細胞の老化は動脈硬化症の要因であり、脳梗塞や心疾患などの血管の病気を引き起こすことが知られている。機能低下した血管内皮に浸潤してきたマクロファージが酸化LDLを大量に取り込んで肥大化し、血管壁にアテローム(粥腫)を形成することで動脈硬化病変が形成。その際にマクロファージが炎症物質を放出し、さらに血管老化が進行する。以前から、高濃度水素水の飲用について抗酸化・抗炎症効果が多数報告されてきたが、細胞老化を抑えられるのかは明らかにされていなかった。そこで、アテローム性動脈硬化症モデルマウスを用いて、高濃度水素水の飲用が血管内皮細胞の老化を抑制するのか検討した。
高濃度水素水が加齢に伴う疾患を予防する可能性
アテローム性動脈硬化症モデルマウスに高脂肪食を与えると、大動脈の血管内皮細胞で老化の指標となるp21とp16INK4aの発現上昇と核への局在が見られ、細胞老化の進行が確認された。その一方、高濃度水素水を常時飲用したマウスでは高脂肪食による細胞老化が抑制された。さらに、血管内皮へのマクロファージの浸潤が抑制され、血管における炎症物質の発現も抑制されていた。これらの結果から、動脈硬化病変を伴う血管内皮細胞の老化が高濃度水素水の飲用によって抑制されることが示唆された。
今回の研究は、分子状水素の投与により、血管内皮細胞の老化が抑制されることを初めて明らかにしたもの。血管老化はさまざまな疾患の引き金となることから、日常的な高濃度水素水の飲用により脳梗塞や心疾患などの加齢に伴う多くの疾患を抑制できる可能性が示唆され、高齢者の健康長寿に大きく貢献できるものと期待される、と研究グループは述べている。
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・東京都健康長寿医療センター プレスリリース