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オプジーボによる免疫療法の治療効果を予測する検査法を開発-東北大

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2018年11月21日 PM01:15

別の治療が必要となる患者が70%程度存在するニボルマブ

東北大学は11月19日、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブを用いた免疫療法において、その治療効果を予測する検査法を開発したと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科皮膚科学分野の相場節也教授、同大学病院皮膚科の藤村卓講師らの研究グループによるもの。研究成果は、英科学雑誌「Frontiers in Oncology」電子版に掲載されている。

根治切除不能の悪性黒色腫への抗PD1抗体ニボルマブ(商品名:(R))は、2014 年に根治切除不能悪性黒色腫に対する免疫療法として保険適応が承認され、その後、肺がん、、ホジキンリンパ腫、腎細胞がんなど多くのがん腫への適応拡大が認められている。しかし、悪性黒色腫患者への単剤では、治療効果が表れる確率は30%前後と、それまでの治療薬に比べて効果が高いものの、効果が出ないため別の治療が必要となる場合が70%程度存在する。

現在、ニボルマブで治療効果が乏しい場合には、別の免疫チェックポイント阻害薬である抗CTLA4 抗体イピリムマブ(商品名:(R))が選択肢としてある。しかし、ニボルマブ使用中にがんが進行した場合、イピリムマブの治療効果は5%前後であり、がんが進行する前にイピリムマブに切り替える必要がある。また、ニボルマブ単剤投与を行った場合、入院が必要なほど重篤な自己免疫に関連したさまざまな副作用が10%前後の確率で発症するが、ニボルマブとイピリムマブを併用した場合は、副作用の発症率が55%前後に上昇することが知られている。ニボルマブ単剤で治療効果が出るかどうか治療早期に判断することが可能になれば、不必要な副作用発症のリスクを回避することが期待できる。

可溶性CD163が血清中の治療効果予測因子となることを発見

今回、研究グループは可溶性タンパク質である「」に着目。CD163は腫瘍随伴性マクロファージのほとんどに含まれ、マクロファージが活性化されると可溶性CD163として血中に放出される。研究では、根治切除不能悪性黒色腫患者において、ニボルマブ投与開始時と投与6週目の血清中の可溶性CD163を計測。投与3か月目における治療効果を画像診断などで確認した。その結果、可溶性CD163が上昇したグループでは的中率85%(59例中50例)でニボルマブの治療効果が見られたのに対し、下降もしくは変化がなかったグループでは的中率87%(59例中51例)で効果は見られなかったという。これにより、ニボルマブによる悪性黒色腫の治療において、可溶性CD163は血清中の治療効果予測因子であることを世界で初めて発見し、これをバイオマーカーとして使用することで、ニボルマブによる免疫療法の最適化が可能となる検査法を開発した。

この検査法により、投与開始後6週目に採血をするだけで、ニボルマブ単独療法の治療効果が出るかどうか早期に判断することが可能となるという。加えてニボルマブ単独療法で効果が出る患者は、不必要なイピリムマブとの併用投与による重篤な副作用を回避することができると期待される。

研究グループは、「腫瘍随伴性マクロファージは悪性黒色腫以外の多くのがん腫でも認められるため、この検査法は他のがん腫への応用が期待できる」と述べている。

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