調査は、6年制第7期生を輩出した薬系大学をはじめ、全国の国公私立薬系大学73大学(74学部)から回答を得た。6年制卒業生の総数は9579人と、最多となった昨年から54人の減少に転じた。男女別に見ると、男性が3679人、女性5900人だった。
このうち、大学が進路を把握した就職者は8043人と185人増加。就職率で見ても卒業生の84.0%と昨年に比べて2.4ポイント上昇した。男性では就職率が82.4%と4年ぶりに8割台に改善した。
就職しなかった人の総数は1536人で、昨年から239人と大幅に減少。そのうち進学者は140人と51人減となったものの、非就職者と未定の人の合計も1374人と昨年の1550人から大幅に減少し、就職しなかった人の増加傾向に歯止めがかかった格好だ。ただ、4年ぶりに状況は改善したが、依然として非就職者と未定者の割合は全体の約14%と高止まりが続いている。
第103回薬剤師国試の新卒合格率は84.87%とほぼ前年並みとなったが、新卒者のうち国試を受験しなかった人は973人と、昨年の1342人から大きく減った。昨年より状況は改善したものの、新卒者の23.7%が薬剤師資格を取得せず、10.2%が国試を受験しないという憂慮すべき状況に変わりはない。
6年制卒業生の就職先を見ると、最も多かったのは薬局の3475人で、全体に占める割合は36.3%に上昇した。ドラッグストアなどの一般販売業の866人、卸売販売業の65人を合わせた就職者の合計は4406人(46.0%)と卒業生の約半数に迫る勢いとなった。次いで多かったのは、国公私立の大学付属病院・一般病院・診療所薬局の2119人(22.2%)となったが、前年度に比べて204人減少。病院・診療所への就職率は6年制1期生を輩出した12年の約30%から低下し続け、今回過去最低となった。
同協議会は「新卒資格取得者の約9割が薬剤師としの職能を生かして働いていると推定される」とし、この就職動向は6年制の第1期卒業生以来、一貫していると分析した。
これに対して、医薬品関連企業に就職した人は、「開発・学術」が379人と4.0%にとどまる傾向は変わらず、「医薬情報担当者」(MR)の306人、「研究・試験・製造」の152人、「その他の職種」の70人を含めても、合計907人と昨年より63人減り、全体に占める割合も9.5%と1割を切った。製薬企業への就職は、3年続けて1000人を割り、減少傾向が続いている。行政への就職者は237人と昨年から41人減少した。
■6年制博士修了の第3期生、病院薬剤部に就職が増加
一方、6年制薬学部に併設される4年制学科の大学院博士課程(6+4)を修了した第3期生の進路もまとめた。博士課程を修了したのは国公立50人、私立74人の合計124人と昨年から23人増加した。私立大学修了者が20人増えたことが主な要因。博士課程修了者の就職先は、教育・研究職が43人(男性31人、女性12人)と最も多かった。
国公立の博士課程修了者の就職動向を見ると、大学の助教など教育・研究職が18人(36.0%)と最も多く、次いで病院薬局・薬剤部が14人(28.0%)と昨年の14.9%から上昇。製薬企業の研究・開発職は昨年の13人から減少して7人(14.0%)となり、これらの就職先が約8割と大半を占めた。このほか、化学メーカーなどの化学・食品等が2人、保険薬局も2人が就職した。
私立の博士課程修了者でも、教育・研究職が25人(33.8%)と最も多い傾向は変わらず、次いで病院薬局・薬剤部が18人(24.3%)となり、臨床重視の6年制博士課程を修了し、病院薬剤部に就職する人が増加している傾向がうかがえた。製薬企業の研究・開発職は12人(16.2%)。官公庁にも3人が就職しており、官公庁への就職者は全て私立大学修了者で占めた。