川上氏の発言は、9日に米子市内で開かれた日病薬中国四国ブロック会長会議でのもの。
背景には、日本調剤が労働者派遣事業許可を取得して今年7月から本格的に開始した病院向け「産休・育休代替薬剤師派遣サービス」があるとみられる。既に東京女子医科大学病院への薬剤師派遣が始まっており、病院薬剤師への影響が懸念されている。
山本氏は、規制緩和によって敷地内薬局が開設できるようになり、「薬局がさらに(病院の)中に入っていき、病院の薬剤師を外に出してしまうのではという懸念はあった」ことを明らかにした。
その上で、「医療機関に勤務する薬剤師はそれぞれ責任を持って院内で仕事をしている」とし、病院の薬剤師が「アウトソーシングされてしまうと、外から来た人はどういう責任を持つのかということになる。それを考えると難しいだろう」との見通しを示した。
また、院内での多職種連携などを考えると、外部業者が病院に薬剤師を派遣するケースについて、「極めて問題視している」とし、「日病薬の副会長として、それは絶対に認めないというのは正しいし、われわれも同じ意見だ」と述べた。
■制度部会のガバナンス確保策「一歩進んだと理解」
山本氏は、厚生労働省が8日の厚生科学審議会・医薬品医療機器制度部会で提示した薬局のガバナンス確保策について、「日薬として一歩進んだと理解している」とコメントした。
同会議で厚労省は、調剤チェーン薬局のガバナンス強化に向け、「薬局開設者の責務の明確化」を法律上、規定することなどを提案したが、委員からは全く意見が出なかった。
山本氏は、「意見が出なかったということは賛成だったと理解している」とし、「管理薬剤師には極めて厳しい責任が課せられている」ことを踏まえると、「今回の提案は、日薬として一歩進んだと理解している」との認識を示した。
ただ、薬局の開設者責任が明確なると、「1店舗でも、100店舗でも同じように(規制の)網がかかるようになる」ことも指摘し、「薬機法の曖昧な部分が明確になってきたのでは」との印象を語った。