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ツムラ、2019年3月期中間決算の売上高は前年同期比0.02%減の582億6800万円

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2018年11月16日 PM02:00

「育薬処方」品目軒並み減収で「Growing処方」品目の五苓散が伸長

株式会社ツムラは11月7日、2019年3月期中間決算を発表。売上高582億6800万円(前年同期比0.02%減)、営業利益89億5000万円(同0.4%減)、経常利益95億6600万円(同3.4%増)、純利益70億8200万円(同7.1%増)の減収増益となった。


代表取締役社長 加藤照和氏

薬価改定の影響受けながらも医療用漢方製剤は前年同期比では1400万円の増収だったが、OTC市場でのOEM(受託製造)品目の減少などにより、全体としては微減収となった。製品別売上高では同社の最重点戦略品である「育薬処方」品目は、大建中湯が52億2600万円(同2.3%減)、抑肝散が38億4800万円(同0.4%減)、六君子湯が35億5900万円(同0.5%減)、牛車腎気丸が18億600万円(同4.4%減)、半夏瀉心湯が6億7000万円(同3.2%減)と軒並み減収となった。一方で、育薬処方に次ぐ戦略品の位置づけである「Growing処方」品目の五苓散が21億1200万円(同9.9%増)と伸長した。

製品別ナンバーワン処方で、がん手術などでの腸閉塞などや腹部膨満感などを伴う様々な消化器症状に処方されている大建中湯での減収について、加藤照和社長は「HPでの採用率が高い製品だが、がんでの開腹手術から腹腔鏡手術中心への術式移行や診療報酬改定に伴う入院期間の短縮化、成人では1日15gにもかかわらず、これ以下の処方量で対応しているケースが散見されたこと、HPからGPへの移行過程での処方中断など環境変化への対応が十分ではなかった」と分析。今後は、病診連携を踏まえた情報提供を強化していくとの考えを強調した。

大建中湯の1日処方量の減少について執行役員医薬営業本部長の空田幸徳氏は「以前から15gは服用しきれないという患者さんで減量処方されているケースもあったが、一部で半量の7.5gが標準用量であるとの誤解も広まっている」と指摘。「最近のデータではBMIが高い場合や高齢者ほど15g服用が望ましいとのデータも出ており、そのことを踏まえて情報提供を徹底したい」との意向を示した。

高齢者関連領域、がん支持療法領域、女性関連領域を3重点領域と定める

加藤社長は、NDBオープンデータの分析から、医療用漢方薬の薬価ベースの処方金額では、高齢者と女性で処方が多いと説明。これを受けて、同社としても高齢者関連領域、がん支持療法領域、女性関連領域を3重点領域と定め、疾患別ではこれらに共通する消化器領域にとりわけ注力していく方針を明示した。

消化器領域の中でも、プラセボ対照比較試験「DREAM Study」で機能性ディスペプシアへの有効性が示された六君子湯について「重点処方と定め、これを皮切りに消化器領域でのさらなるプレゼンス向上を目指したい」(加藤社長)との意向を表明。DREAM Studyのプロモーション資材完成と教育のスタートが計画より1か月遅れた影響で当初は計画未達だったが、資材投入の6月半ば以降はほぼ計画売上高を達成していると述べ、「今後はGPでのターゲット先を拡大して採用率を高めるアプローチに努め、上部消化管疾患治療薬のファーストラインとしての地位を確立したい」との抱負を語った。

また、2017年来活発化させている中国事業については、6月に設立した平安保険グループとの合弁会社・平安津村で薬食同源に基づく薬食材16品目のテストマーケティングを開始したことを公表。また、加藤社長は平安保険グループが有する世界有数のAIを利用した顔認証技術を応用して生薬の自動選別に向けた研究も開始したことを明らかにし、「現在膨大な手作業で行っている生薬選別を将来的には自動化してコスト低減に努めたい」との考えを明らかにした。

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