急性期に5%程度の重篤な有害事象を呈する重症低血糖
血糖変動のリアルタイムモニタリングが可能となる、持続グルコースモニタリングシステム「ガーディアンコネクト」の上市を年末に予定する日本メドトロニック株式会社が11月9日、メディアセミナーを開催。徳島大学先端酵素学研究所 糖尿病臨床・研究開発センター センター長の松久宗英氏が「インスリン治療に伴う重症低血糖・低血糖の予測と対応」について講演を行った。
徳島大学先端酵素学研究所
糖尿病臨床・研究開発センター
センター長 松久宗英氏
日本糖尿病学会では、ガイドラインや専門医研修ガイドブックなどで、血糖値が70mg/dl以下の場合を「低血糖」、さらに回復に第三者の援助を要したり、痙攣や昏睡に至るものを「重症低血糖」と定義している。重症低血糖を示す1型糖尿病の特徴として、年齢やHbA1cに関わらず好発する、反復する、無自覚性があり、同2型糖尿病の特徴として、インスリンまたはSU薬による治療を行っている、高齢、HbA1c低値、腎機能障害者、前駆症状を伴うなどがある。
「重症低血糖は、急性期に5%程度の重篤な有害事象を呈するほか、致死的不整脈を引き起こしやすくなり、長期にわたる心血管イベントや死亡リスクにも関連しています。重症低血糖は国内で年間2万件程度発症していると推計されます」(松久氏)
患者教育・可視化・リスクを低減した治療への変更がカギ
低血糖予防のためのアプローチとして松久氏は、患者への低血糖教育、医療機器の活用による低血糖の可視化、低血糖のリスクを低減した治療への変更、の3点を挙げる。「重症低血糖に影響した因子として多いのは、食事の内容・タイミングの不適合と薬剤の過量・誤投与です。4分の3以上の因子は、医療者の適切な指導や患者側の注意でリスクの回避・低減が期待できます」(松久氏)
医療費増大・社会的損害の面でも大きな影響を与える重症低血糖。本人のみならず、周囲の気づきや社会への啓発が必要、と松久氏は語った。
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・日本メドトロニック株式会社 ガーディアンコネクト