病院情報システムへのIoT導入、臨床応用を目指す
テルモ株式会社と京都大学は11月12日、IoT対応ポンプを使った薬剤投与ワークフローに関する共同研究を開始したことを発表した。両者はこの研究を通じて、安全性が高く、医療現場に即した手順と、これを実現する情報システムの確立を目指していきたいとしている。
画像はリリースより
日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」の2017年データによると、1,215施設における17,834件のインシデントのうち、投与に関するものは2,983件であった。これは、医療機関で発生するインシデントのうち、約2割が薬剤取り違えや投与速度設定ミスなどの薬剤投与に関するものだという。
テルモは、輸液セット、輸液ポンプ、注射器、留置針、輸液剤など、薬剤投与に関する製品を幅広く展開しており、国内で唯一、IoTに対応した輸液システム「スマートインフュージョンシステム」(スマートポンプ)を販売している。スマートポンプは、薬剤量の設定間違い防止に役立つ薬剤ライブラリ機能、業務効率化につながる病院内IT連携機能などの特徴を備えている。一方、京大医学部附属病院は、医療業務の効率性・安全性の向上を目指した病院情報システムへのIoT導入を積極的に進め、IoTの臨床応用に関する知見を多く有している。
医療現場で使いやすいワークフローを検証
今回の研究では、注射器に貼り付けられたICタグをポンプが読み取り、自動的に薬剤名などが設定されるようになる。ポンプの投与設定を自動化することで、投与に関する安全性の向上が期待される。また、京大医学部附属病院で同研究を実施することで、医療現場で使いやすいワークフローの検証を行うことが可能となる。
研究期間は、2018年10月から2019年3月までを予定。同社は「この研究結果を生かし、2020年度発売を目指してスマートポンプの改良に取り組んでいきたい」と述べており、今後の研究に期待が寄せられている。
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・テルモ株式会社 プレスリリース