新規抗フラクタルカイン抗体「E6011」
エーザイ株式会社とその子会社であるEAファーマ株式会社は11月8日、E6011のクローン病治療薬開発において、EAファーマと6つの共同研究機関との間で研究委受託契約を締結し、研究開発を本格的に開始したと発表した。同研究開発プロジェクトは、日本医療研究開発機構(AMED)における医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)に採択されている。
E6011は、エーザイの研究子会社である株式会社カン研究所が創製した新規の抗フラクタルカイン抗体。フラクタルカイン(FKN)は、炎症性腸疾患や関節リウマチをはじめとする炎症性疾患の血管内皮細胞に発現し、FKN受容体(CX3CR1)を発現する免疫細胞に結合することで炎症反応を惹起する。E6011は、CX3CR1を発現する免疫細胞の遊走・浸潤抑制による抗炎症作用が期待される新規メカニズムのバイオ医薬(抗体医薬)だ。
慶大ら6機関が新規薬効予測マーカーの臨床研究を担当
今回、研究開発を開始したCiCLE採択課題「クローン病を対象とした産学連携による本邦発バイオ医薬品と新規薬効予測マーカーの開発」は、EAファーマが代表機関となる。同プロジェクトにおいては、EAファーマがE6011の臨床開発を主導し、研究委受託契約を締結した各研究機関(慶應義塾大学医学部、東京医科歯科大学、北里大学北里研究所病院、名古屋市立大学、鹿児島大学、カン研究所)が、新規薬効予測マーカーの開発にかかわる臨床研究を担当する。
EAファーマが参画する産学官連携として同プロジェクトのほかに、「組換えヒト肝細胞増殖因子を用いた急性肝不全治療薬」の実用化に対する取り組みがAMEDの研究成果最適展開支援プログラムに、「良性小腸狭窄を治療するための内視鏡下で留置可能な自己拡張型生分解性小腸用ステントの開発・海外展開」に対する取り組みがAMEDの医工連携事業化推進事業に、それぞれ採択されている。さらに、筑波大学との「低分子化合物とバイオマーカーを用いた炎症性腸疾患の治療」に対する取り組みが、科学技術振興機構(JST)の助成による産学共同実用化開発事業(NexTEP)に採択されている。
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