■感染症関連8学会など
日本化学療法学会、日本環境感染学会、日本感染症学会、日本薬学会、日本医療薬学会など感染症関連8学会と日本医療政策機構(HGPI)は8日、産官学民の関係者が連携して薬剤耐性(AMR)対策の実施や政策提言を行う「AMRアライアンスジャパン」を設立した。国のアクションプランを踏まえ、AMR対策をさらに推進するため、多分野の専門家が集結した中立的な組織が必要と判断。継続的に議論を重ねることで、国民向け抗菌薬の手引き書などのコミュニケーションツールの提供や来年のG20サミット大阪開催に向けた政策提言を視野に活動を進めていく。
政府が2016年4月に「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」をまとめ、日本でも国家的なAMR対策がスタートする中、HGPIはAMRに関する専門家会合を開催し、政策提言を発表してきた一方、感染症関連の8学会は「抗菌薬の適正使用に向けた8学会提言」を公表するなど一体的な活動を推進してきた。
ただ、AMR対策をさらに推進していくためには、産官学民の関係者が結集して議論を重ねる中立的な組織が必要と判断。9月のキックオフ会合を経て、HGPIと8学会が連携してAMRアライアンスジャパンを設立することになった。
同組織は、HGPIに事務局を置き、国民向けの抗菌薬の手引き書などコミュニケーションツールを提供する必要性を訴求したり、新規抗菌薬開発におけるインセンティブや迅速検査の必要性を議論し、共通認識のもとで論点を抽出して政策提言につなげる取り組みを行う。さらに、来年日本で開かれるG20大阪サミットに向け、AMR対策を首脳会議の議題に設定するよう国際連携の取り組みも進めていく。
同日、都内で記者会見した日本感染症学会の舘田一博理事長は、「AMR対策のポイントは一般市民と感染症の非専門医をどう取り込みながら、教育啓発を進めていくか」と指摘。「われわれ(関連学会)の責任として、アライアンスの設立を国民に普及啓発していくスタートにしたい」と意欲を語った。
日本環境感染学会の賀来満夫理事長は、「市民にどう伝えるかは難しい問題」としつつ、薬局やドラッグストアに感染症コーナーを設け、処方された抗菌薬の説明を薬剤師が行うことなどの「働きかけが重要」と強調。「薬局や診療所、学校などの取り組みを一体となって議論していくことが必要」とアライアンスの役割を語った。