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【厚労省・制度部会】病院・薬局の連携構築など-薬局機能、「考えられる要件」提示

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2018年11月12日 AM10:30


■法令上の明確化、多くが賛同

厚生労働省は8日、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会に、「法令上、明確化すること」を提案している薬局機能の「考えられる要件」を提示した。地域に根ざした「かかりつけ型」では、入退院時の医療機関との情報共有をはじめ、休日夜間対応(輪番制)や在宅訪問の実施、「高度薬学管理型」では、専門性の高い薬剤師の配置、医療機関・薬局との密な連携体制などを例に挙げた。いずれも地域の病院・薬局による「連携体制構築」を共通のキーワードに据えている点が特徴だ。ほとんどの委員は、薬局が持つ機能を法令上、明確化することに賛同したが、中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「その後の調剤報酬点数につながる」ことを懸念し、反対した。

薬局機能の明確化は、それぞれの薬局がどういう機能を備えているのかが分かりにくい実情を踏まえ、薬局が持つ機能を表示できるようにすることで、患者が薬局を選択しやすくすることを目的としたもの。

厚労省は、現行法の薬局開設許可に加え、「地域で在宅医療への対応や入退院時をはじめとする他の医療機関、薬局などとの服薬情報の一元的・継続的な情報連携において主体的な役割を担う」(かかりつけ)機能を有している薬局と、「癌などの薬物療法を受けている患者に対し、医療機関との密な連携を行いつつ、高い専門性に基づき、より丁寧な薬学的管理や特殊な調剤に対応できる」(高度薬学管理)機能を有する薬局を分類し、法令上、明確にすることを提案している。

この日の会議では、「かかりつけ型」の考えられる要件として、▽プライバシーに配慮した相談スペース▽地域における休日夜間対応(輪番制)▽入退院時の医療機関との情報共有等の連携体制▽在宅訪問の実施▽麻薬調剤の対応▽無菌調剤設備(共同利用することでも可)▽一定の研修を受講した薬剤師の配置――を例示。

「高度薬学管理型」では、▽プライバシーが確保された個室▽地域需要に応じた特殊な薬剤等の確保▽専門性の高い薬剤師の配置▽医療機関・薬局との密な連携体制の整備および研修の実施――を挙げた。

また、前回と同様に「薬剤師が医薬品の服用期間を通じて、必要な服薬状況の把握や薬学的知見に基づく指導を行う」ことや、「薬剤師が服薬状況等の情報を医師らに必要に応じて提供する」ことを法令上の努力義務として位置づけることを示した上で、今回は、「薬剤師の職能発揮に向けて、薬局開設者の遵守事項とする」ことも論点に挙げた。

ほとんどの委員は、こうした「薬剤師の情報提供・薬学的知見に基づく指導の強化」「薬局機能の明確化」を法令上、義務づけることに賛同したが、中川氏は、調剤報酬改定の加算や引き上げにつながることに懸念を示すと共に、「法令上明確にすればできるようになるというのは無理がある」などと反対した。

病院と薬局の連携をめぐっては、参考人として出席した日本病院薬剤師会の{卉(上)+木(下)}原健専務理事が、外来で化学療法を受ける患者が増えている実情を踏まえ、病院薬剤師と薬局薬剤師が連携して副作用対策や薬剤の適正使用に取り組む必要性を強調したが、中川氏は癌などの薬物療法などを専門的に担う「高度薬学管理薬局」について、「病院薬剤師が一貫して行うべき業務」であり、薬局薬剤師は「補完する役割」とした。

■第三者組織設置案示す‐医薬品行政を監視

この日の部会では、薬害を防ぐために医薬品行政を監視する第三者組織の設置案も示された。

第三者組織は、2010年4月の「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」で設置の必要性が指摘されていたもの。

厚労省は、医薬品行政の透明性確保や重篤な副作用の発生を防ぐため、医薬・生活衛生局や医薬品医療機器総合機構()が行う医薬品等の安全対策の実施状況を監視・評価し、必要に応じて、厚生労働大臣に意見を述べることができるようにする方向性を示した。また、厚労省から定期的に副作用の報告を受けるほか、厚労省に資料提供を求めることができるなどの権限も持てるようにする。

薬害被害者や医師、薬剤師、医薬品評価専門家、法律家ら約10人で構成し、厚労省の審議会として設置することを想定。医薬品行政からの独立性を確保するため、事務局機能は大臣官房が担うとしている。

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