■安全対策調査会が方針
薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会は5日、日本ビーシージーが製造販売する「乾燥BCGワクチン」の生理食塩液に、規格値を上回る量のヒ素が検出されたことを受け、今月中~下旬以降の出荷分から新製品への切り替えや交換を行うことなどを同社に求める方針を取りまとめた。生理食塩液の容器であるアンプルに含まれるヒ素が密封する過程で混入したことが原因としているが、安全性に問題はないという。情報不足による混乱を避けるため、製品交換などの対応策を医療機関や自治体などに速やかに周知するよう求めている。
結核予防に使用される乾燥BCGワクチンをめぐっては8月9日、同社が厚労省に対し、添付溶剤の生理食塩液に含まれるヒ素濃度が日本薬局方の規格値である0.1ppm以下を上回る0.11~0.26ppmとなり、不適合だったことを報告した。
ただ、ワクチンを評価した国立医薬品食品衛生研究所は、「最大0.26ppmのヒ素が入ったワクチンを接種した場合でも、許容される1日曝露量を下回り、安全性に問題ないレベル」と結論づけている。
規格値を上回るヒ素が検出された原因として、同社は「アンプルにはヒ素が含まれており、アンプルの先端をガスバーナーで熱して密封する工程でヒ素が溶出し、容器内の生理食塩液に混入した」と分析している。
現在はワクチンの出荷を控えているものの、代替製品がなく、在庫が尽きる見込みであることから、ヒ素が溶け出ないアンプルで新しい生理食塩液の製造を既に行っている。今月中~下旬には市場出荷を再開する予定としている。
これらを踏まえ、調査会ではワクチンの安全性に問題がないと結論づける一方で、今月中~下旬に新製品への切り替えや交換を行うこと、最終製品中のヒ素濃度を確認し品質を確保すること、医療機関、関係学会、自治体などにこれらの内容を速やかに周知することを同社に求めることとした。