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薬局が病院に入院時情報提供-ポリファーマシー改善の提案も

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2018年11月07日 AM10:15


■大阪府南河内地域で試行

大阪府南河内地域の病院と薬局は、入院時と退院時にそれぞれが必要な情報を提供する体制の構築に取り組んでいる。患者の入院時にかかりつけ薬局の薬剤師は、残薬や持参薬を把握して服薬状況を一覧表にまとめ、多剤併用()改善の提案も盛り込んで、病院側に提供する。退院時の情報提供は各地で実施されているが、同地域では入院時の情報提供を加えて一連のサイクルを築き上げ、より良い医療の実現を図る。来春までの2年間で試行と検証を終え、その結果を踏まえて来年度から地域全体で幅広く実施したい考えだ。

薬局が病院に送信する「入院時情報共有シート」

今年度は、厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン推進事業」に基づく大阪府の事業として実施。国立病院機構大阪南医療センター(河内長野市)の入退院患者を対象に、河内長野市、藤井寺市、羽曳野市、富田林市、松原市、大阪狭山市の各薬局が事業に加わり、準備を経て10月から試行を開始した。12月まで運用を続けた上で実施事例を解析し、相互に情報を提供するメリットや課題を検証する。

大阪南医療センターは、患者の入院日が決まると院外処方箋にその日程を記入。「服薬情報の提供をお願いします」と薬局に向けたメッセージも記載する。これを受けて薬局薬剤師は、事業内容を改めて患者に説明し、口頭で同意を取得。入院時情報共有シートに必要事項を記入し、FAXや電子メールなどで同センターに送信する。

入院時情報共有シートには、かかりつけ薬局の薬剤師として把握した複数医療機関の処方状況をもとに、現在の服薬一覧を記載。患者から聴き取った残薬やアドヒアランスなどの状況を踏まえて、ポリファーマシー改善の提案も盛り込む。このほか、▽お薬手帳の有無▽OTC薬▽▽副作用歴▽▽生活上の問題点――などの情報も記載する。

病院側は、入院時の患者情報の把握にマンパワーを費やしているが、薬局からの情報提供によってその負担は軽くなる。かかりつけ薬局だからこそ把握可能なOTC薬、健康食品などの情報を十分に把握できるほか、ポリファーマシー改善の提案を減薬に役立てられる。退院時共同カンファレンスへの参加も呼びかけやすくなる。

一方、退院時に大阪南医療センターは、退院時情報共有シートを発行し、FAXや電子メールでかかりつけ薬局に送信する。このシートには▽主治医の氏名▽入院期間▽病名▽食事の状況▽検査値▽服薬管理状況▽調剤上の工夫――などを記載し、薬局に引き継ぐ。

相互の情報共有によって、入院時も退院時も切れ目のない、安全で効率的な薬学的管理や医療の実現を目指す考えだ。

今回の取り組みは、2016年度に藤井寺保健所管内の薬局が実施した残薬整理推進事業がきっかけ。この事業が発展して17年度は、入院時に薬局が必要な情報を病院に提供する事業を開始。河内長野市を中心に8薬局が1カ月間、28人の患者に試行した。その結果を踏まえて18年度は、入院時情報提供シートの様式を見直し、退院時情報提供を加えて試行を拡大した。

河内長野市薬剤師会の簗瀬裕彦会長(ヤナセ薬局)は「把握した残薬の状況を、入院時に病院側に提供する必要性を感じて17年度から事業を開始した。退院時に病院からの情報提供を求めるなら、入院時には薬局から情報を提供しなければならない。入退院時の情報提供サイクルを作り、かかりつけ薬剤師として機能を発揮したい」と語る。

18年度は試行開始後1カ月間で既に50例の入院時情報提供シートを送信した。今後、実施事例を積み重ね、その効果や課題を検証した上で、来年度以降は地域全体で幅広く実施したい考えだ。

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