生活習慣病の原因になるともいわれる“朝食抜き”
名古屋大学は11月1日、朝食を抜くと体重が増えるメカニズムは体内時計の異常であることを解明したと発表した。この研究は、同大大学院生命農学研究科の小田裕昭准教授を中心とする研究グループによるもの。研究成果は「PLOS ONE」電子版に掲載されている。
画像はリリースより
厚生労働省の平成27年国民健康・栄養調査では、20歳代の4人に1人が朝食を食べていないと報告されている。朝食を抜くことは、肥満やメタボリックシンドローム、2型糖尿病、冠動脈心疾患の原因になるといわれている。しかし、これまでの研究は観察研究が多く、身体の中で起こるメカニズムは明らかにされていなかった。
体内時計の異常で活動期が短くなり、体重が増加
今回、研究グループは、実験用ラットに高脂肪食を14日間与える実験を実施。活動期のみ食餌を与える対照群と、4時間遅らせて食餌を与える朝食欠食群を設けた。これは、人にあてはめると、朝8時に朝食を食べる人と、昼12時に最初の食事を食べる人にあたる。
研究の結果、どちらも食餌摂取量は変わらなかったが、朝食欠食群は体重が増加し、脂肪組織重量が多くなっていたという。また、朝食欠食群では肝臓の時計遺伝子や脂質合成系の遺伝子の発現リズムにも、およそ4時間の遅れが生じていた。さらに、活動期に上がる体温は、朝食欠食群では食べ始めるまで上がらなかった。反対に、休息期に下がるはずの体温が、朝食欠食群では食事を食べている最中に低下。そのため、体温の上昇している時間が短くなっていたという。これにより、朝食欠食では肝臓時計のずれや体温時計などの体内時計の異常によって活動期が短くなり、エネルギーをあまり消費しないため、体重増加を引き起こすことが明らかになったとしている。
今回の研究は、朝食欠食による体内時計の乱れが原因で起きることを遺伝子レベルで明ら かにしたもの。この結果は、朝食を勧める際の科学的根拠になる。また、朝食は体内時計の正常化にとって、最も重要な食事であることを示すことができた。朝食をとることで、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防も期待される、と研究グループは述べている。
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