MLL再構成AMLで新たにCCND3遺伝子変異を発見
京都大学は11月1日、MLL再構成の急性骨髄性白血病(AML)において、新たにCCND3遺伝子変異を発見し、乳がんの既存薬であるCDK4/6阻害剤が有効な可能性を明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科の松尾英将助教、吉田健一助教らによるもの。研究成果は、米血液学会発行のオンライン雑誌「Blood Advances」に掲載された。
画像はリリースより
AMLは、従来の治療法では再発例が多く長期生存率が低いことから、新しい治療法の開発が望まれている。中でも、MLL再構成AMLという病型は小児(とくに乳児)に高頻度にみられているもので、詳しい遺伝子異常はわかっていない。また、これまでAMLにおいて報告されてきた遺伝子異常の多くは、現時点で治療標的にならないという問題もあった。
CCND3遺伝子変異のないMLL再構成AML細胞株にも効果
今回、研究グループは、JCCG日本小児がん研究グループAML委員会による臨床試験AML-05に登録された小児MLL再構成AML症例の余剰検体を用いて、次世代シークエンサーを用いた網羅的な遺伝子解析(全エクソンシークエンス9例、ターゲットシーケンス56例)を実施。その結果、小児症例の約9%、成人症例の約3%で新規CCND3遺伝子変異を発見した。さらに、乳がんで臨床応用されているCDK4/6阻害剤が、CCND3遺伝子変異を持つMLL再構成AML細胞株の増殖を著明に抑制することを明らかにしたという。
今回の研究結果より、今後、CDK4/6阻害剤がMLL再構成AML治療の選択肢となり、CCND3遺伝子変異がCDK4/6阻害剤の有効性を予測できる指標となる可能性が明らかになった。また、CDK4/6阻害剤は、CCND3遺伝子変異を持たないMLL再構成AML細胞株に対しても有効だったという。そのため、CCND3遺伝子変異以外にも、CDK4/6阻害剤の標的となるメカニズムの存在も考えられるとしている。研究グループ今後、そのメカニズムの解明に加え、白血病化マウスを用いたCDK4/6阻害剤の有効性の検証などを行う予定だとしている。
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・京都大学 研究成果