厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会は10月31日、65歳以上の高齢者を対象とした「肺炎球菌ポリサッカライドワクチン」の定期接種を来年度以降も継続することを決めた。有効性・安全性などについて一定の評価ができるとした、6月の「ワクチン評価に関する評価委員会」の結論を踏まえたもので、1回接種者の再接種については効果持続期間などのデータが不足していることから、引き続き検討を行う。
高齢者の肺炎球菌ワクチンの定期接種をめぐっては、今年度までは肺炎球菌ポリサッカライドワクチンを65歳になる人が生涯1回のみ接種することとしており、それ以降は5年単位で接種勧奨を行っているが、5年間のうち1年間のみが接種対象期間となる。
6月のワクチン評価に関する小委員会では、同ワクチンの有効性・安全性、医療経済学的評価について一定の評価ができるとして、来年度以降の定期接種を継続すべきとの考えを示した一方で、1回接種者の再接種については効果持続期間などのデータが不足していることから、引き続き検討すべきとの結論が出ていた。
この日の部会では、小委員会の結論を支持する声が相次いだことから、接種の継続を決定した。今後、予防接種・ワクチン分科会に報告する予定にしている。
一方、小委員会で「5年間の経過措置のあり方について部会で検討すべき」との考えが示されたことから、この日の部会では経過措置の継続や未接種者への対応など、現在の経過措置のあり方全般についても議論した。
伊藤澄信委員(国立病院機構本部総合研究センター長)は「5年に1度しか接種機会がないのはどうかと思う。接種したい人が接種できる仕組みを検討すべき」と主張。池田俊也委員(国際医療福祉大学公衆衛生学教授)も、「平均寿命の伸びを考えると、80歳や85歳以上は毎年接種機会があってもよいのではないか」と発言し、現在の経過措置を見直すべきとの考えを相次ぎ示した。また、坂元昇委員(川崎市健康福祉局医務監)は「接種勧奨を通知している自治体は多いが、接種しない人も多い。地域包括支援センターを活用するなど、相当細かいケアが必要」と述べた。
経過措置のあり方に関しては、自治体の準備期間を考慮し、年内をメドに結論を出したい考えだ。