アジア人対象にアレセンサとクリゾチニブを比較検討
スイス・ロシュ社は10月22日、アレセンサ(R)(一般名:アレクチニブ)が第3相臨床試験のALESIA試験で、主要評価項目の治験参加医師判定による無増悪生存期間(PFS)を達成したことを発表した。同試験の成績は、ESMO2018(欧州臨床腫瘍学会)で発表された。
ALESIA試験は、未治療のALK陽性の進行または転移性非小細胞肺がんのアジア人で、アレセンサとクリゾチニブの有効性と安全性の比較検討、アレセンサの薬物動態を検討した、無作為化多施設共同オープンラベル第3相臨床試験。3か国21施設の187名で実施された。
同試験において、患者はアレセンサ群またはクリゾチニブ群に2:1で無作為に割り付けられた。主要評価項目はRECIST v1.1基準を用いた治験参加医師判定によるPFSであり、副次的評価項目は独立評価委員会判定によるPFS、中枢神経病変の進行までの期間、および中枢神経系における奏効率、治験参加医師判定による奏効率および奏効期間、全生存期間、健康関連QOLおよび安全性だった。
病勢進行または死亡のリスクを78%減少
ALESIA試験の結果、ALK陽性の進行または転移性非小細胞肺がんのアジア人におけるアレセンサ単独での1次治療は、クリゾチニブと比較し病勢進行または死亡のリスクを78%統計学的に有意に減少させたという(ハザード比:0.22、95%信頼区間:0.13-0.38)。クリソチニブ群のPFS中央値は11.1か月(95%信頼区間:9.1-13.0か月)だったが、アレセンサ群では未到達だった(95%信頼区間:20.3か月-未到達)。また、脳および中枢神経系への腫瘍の転移・増殖リスクを86%減少さたという。アレセンサの安全性プロファイルは、これまでの試験で観察されたものと同様だったとしている。
現在、アレセンサはALK陽性の転移性非小細胞肺がんにおける1次治療について、米国、欧州、日本および中国を含む65か国で承認されている。
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