高齢者の特定健診、重症化予防など市町村が行う保健事業は、後期高齢者の75歳になると制度的に途切れてしまうことから、市町村が国民健康保険と後期高齢者医療制度の保健事業を一体的に運用できる仕組みにしていく必要性を指摘。フレイル予防の観点から、社会参加の要素も含めて医療保険の保健事業と介護保険の介護予防事業を一体的に進めていく論点を示した。
そのためには、市町村など自治体で保健師など専門職の人材を確保し、包括的に専門性を発揮できるような体制整備が重要と指摘。さらに、保健事業と介護予防事業の質の向上のため、高齢者の「通いの場」が専門職からの指導や相談機能を持ち、専門職が高齢者の参加意欲を促すような取り組みを進めていく必要があるとした。
その上で、通いの場で把握したフレイル状態の高齢者を適切な医療につなげていくため、地域の医師会、歯科医師会、薬剤師会などとの連携が必要とし、フレイル予防に関心がある住民が訪れる薬局でも通いの場を提供していくことも考えられると言及。効率的な保健指導を進めるため、通いの場を活用した保健事業の実施を含め全体的なコーディネートの仕組み作りが必要とした。
有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は、専門職の体制について「新たに保健事業と介護予防事業の一体的実施に向けた検討を行うのは大変」と述べ、既に市町村単位で進んでいる地域ケア会議の活用を提案。「フレイル予防を会議体のメニューに盛り込み、地域の人材を活用していくことを加えたらいいのではないか」とした。
また、地域で通いの場として活動している薬局もあることを紹介。サプリメントなどを扱う薬局は住民のファーストアクセスの場になっているとして、効果的に無関心な高齢者に働きかけ、通いの場への参加を促すため、かかりつけ薬局の活用を求めた。