■来年2月の本実施に課題
文部科学省は19日の「薬学実務実習に関する連絡会議」に、来年2月からスタートする改訂モデル・コアカリキュラムに準拠した実務実習を想定したトライアルの取り組み状況に関するアンケート調査結果を提示した。第I期に病院実習を行った大学のうち、全学生にトライアルを実施した大学が36%にとどまっていたほか、新たな実習で必須となっている「大学・病院・薬局の三者による連携体制構築」を行っていた大学も半数程度で、大学や地区調整機構、施設によって取り組みにバラツキがあることが分かった。
アンケート調査は、74学部を対象に行った。第I期に病院実習を行った大学のうち、全学生にトライアルを実施した大学は36%(25学部)で、「一部の学生」に実施した大学は46%(32学部)だった。「一部」の中には、8割以上の学生にトライアルを実施した大学がある一方で、1~2人のみの大学もあり、「かなり差がある」(文科省)ことが明らかになった。
トライアルを「今後、全学生」「今後、一部の学生」に行うと回答した大学では、「II期から実施」が多く、「今年度は行わない」と回答したのは7%(5学部)だった。トライアルを行わない理由としては、「地区調整機構での討議結果により実施していない」「トライアルを行うかどうかは施設に任せている」などが挙がった。
また、「実習施設側の了承が得られず、一部の学生でトライアルができなかった」との意見がある一方で、「施設側からの希望に応える形で一部の学生でトライアルを行った」との意見もあったという。
2015年2月に同会議が作成した「薬学実務実習に関するガイドライン」では、「大学・病院実習・薬局実習の学習の連携を図り、一貫性を確保することで学習効果の高い実習を行う」ことが明記されているが、三者での連携体制を構築した大学は49%(36学部)で、半数にとどまった。「三者での連携体制を検討している」大学は42%(31学部)で、「今後、検討」が8%(6学部)だった。
文科省は、調査結果が7月時点のもので、8月に同省が行った「薬学教育指導者のためのワークショップ」などを通して、関係者の理解が深まり、「改善しているのでは」との見通しを示したが、この日の会議では、トライアルの重要性や、トライアルそのものを理解していない教員がいることなども問題視された。
連絡会議では、来年2月からの本格導入を円滑に行うため、I期から「関係者が一丸となって全ての大学がトライアルに取り組む」方針を確認していたが、本実施に向けて課題が浮き彫りとなった。