中央社会保険医療協議会は17日の総会で、日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)、日本医薬品卸売業連合会などから2019年10月に予定している消費税率10%への引き上げに伴う薬価改定について意見聴取した。製薬3団体は来年度に実施が検討されている薬価改定について、「あくまでも増税対応」と揃ってけん制。消費増税に伴う薬価改定は来年10月に実施されるべきと主張した。薬卸連も、来年10月以外の月に薬価改定を行う根拠が不明確とし、仮に他の月に実施した場合、医薬品の安定供給に大きな支障が出ると訴えた。
日薬連の手代木功会長(塩野義製薬社長)は、18年度の薬価制度の抜本改革が「非常に厳しい見直しになった」とし、こうした中で来年10月の消費税引き上げに対応する形で実施が検討されている19年度の薬価改定について「臨時の改定であり、2年に1回の通常改定とは位置づけが異なる」と指摘。「来年10月に実施されるべき」と慎重な検討を求めた。
その上で、通常改定ではないことから、消費税率引き上げ分を上乗せすることにとどめ、新薬創出等加算、基礎的医薬品などの対象品目の薬価維持を要求。長期収載品の追加引き下げや再算定などは実施すべきでないとクギを刺した。PhRMAとEFPIAも「全く同じ意見」と同調し、消費税改定の来年10月実施を改めて求めた。
薬卸連の鈴木賢会長(バイタルネット会長)は、「今回は、あくまで消費税引き上げ分を薬価に適切に転嫁するために実施するもの」とし、それを前提に薬価調査に協力していることを強調。仮に来年10月以外の月に薬価改定を行った場合、実質的な価格交渉を1年に複数回行うこととなりかねず、既に妥結した価格の変動を助長したり、駆け込み需要の発生により医薬品供給が混乱するなどの問題点を挙げ、「医薬品の流通に大きな支障が生じ、安定供給が困難になる」と警鐘を鳴らした。
ただ、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「来年10月実施の主張は当然」と業界の意見に理解を示しつつ、「消費税はその時の実勢価に上乗せすべき。本来、実勢価に合わせて薬価を下げることをせずに消費税2%分を上乗せするのは違うのではないか」と述べ、19年の実勢価に上乗せすべきと主張した。