「健康づくりのための身体活動基準 2013」を用いて検討
東北大学は10月10日、厚生労働省が定めた全身持久力の基準を達成すると、その後の高血圧発症のリスクが低くなることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科の門間陽樹講師と同大学院医工学研究の永富良一教授(兼・大学院医学系研究科)が、東京ガス株式会社および医薬基盤・健康・栄養研究所と共同で行ったもの。研究成果は、「Journal of Hypertension」(電子版)に掲載されている。
画像はリリースより
高血圧の予防には、ランニングなどの運動によって全身持久力を高く保つことが有効であるとされている。どの程度の全身持久力を、どのくらいの期間、高く保つ必要があるのか、ひとつの参考値として、2013年に厚生労働省が公表した「健康づくりのための身体活動基準 2013」で設定されている全身持久力の基準がある。この基準を達成することが高血圧の予防に影響するのか、さらに、どのくらいこの基準を達成しなければならないのか、検証を行った。
3回以上の基準達成で高血圧の発症リスクに明確な違いが
今回の研究では、追跡開始時点およびそれ以前に全身持久力を測定した高血圧ではない男性6,653人を最大23年間追跡。その結果、追跡開始時に基準を達成していたグループは、達成していなかったグループと比較して、21%ほど高血圧の発症リスクが低い値を示した。
また、追跡開始以前の6年間における基準達成回数(年に1回測定)を算出し、高血圧の発症リスクを比較(0回~7回)。その結果、基準の達成回数が多ければ多いほど、高血圧の発症リスクは低い値を示した。さらに、基準を達成した回数が3回以上になると、高血圧の発症リスクに明確な違いが認められるようになったとしている。
今回の研究の結果より、「健康づくりのための身体活動基準2013」で定められている全身持久力の基準を継続的に達成することが、高血圧の予防につながる可能性が明らかになった。研究グループは、「運動指導や保健指導等の現場で役立つ重要な報告だ」と述べている。
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