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抗肥満作用を有するベージュ細胞の新たな調節機序を解明-富山大

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2018年10月12日 AM11:15

基礎代謝が高まる脂肪の「ベージュ化」

富山大学は10月1日、抗肥満作用を有するベージュ脂肪細胞の調節メカニズムを解明したと発表した。この研究は、同大大学院医学薬学研究部(医学)内科学講座1の戸邉一之教授、藤坂志帆助教、五十嵐喜子研究員、アラーナワズ研究員らの研究グループによるもの。研究成果は、英科学誌「Scientific Reports」オンライン版にて公開された。


画像はリリースより

生活習慣による肥満は近年世界的な問題となっている。肥満は2型糖尿病や高血圧症、脂質異常症などメタボリック症候群の基盤であり、将来の脳卒中、心筋梗塞、悪性腫瘍や認知症などのリスクとなる。しかし、肥満の予防に有効な治療はほとんどないのが現状だ。

脂肪組織には、エネルギーを貯める「白色脂肪」と、エネルギーを燃やす「ベージュ脂肪」の2種類がある。寒冷な状態ではエネルギーを燃やして体温を維持するため、皮下の白色脂肪の性質が変化したベージュ細胞が出現する。このベージュ化が促進されると基礎代謝が高まり、抗肥満作用、2型糖尿病予防効果が期待できると考えられている。

M2マクロファージ除去で脂肪組織の褐色化が促進

これまでに研究グループは、免疫細胞のひとつであるM2マクロファージの役割に着目した研究を行ってきていた。そして今回、生体内のM2マクロファージだけを任意のタイミングで除去することができる遺伝子改変マウスを作成し、解析。その結果、寒冷時には正常のマウスで皮下脂肪のベージュ化が起こるが、 M2マクロファージを除去すると、このベージュ化がより強く見られ、その結果、基礎代謝が高まり血糖値が低下し、インスリンの効きも良好な体質になることがわかった。

さらにこのベージュ化は、皮下脂肪にある前駆ベージュ脂肪細胞の数が増えることで起こるということが判明。これらの結果から、前駆ベージュ脂肪細胞の数の調節にM2マクロファージが関与しており、M2マクロファージを除去することでベージュ化を高め、より基礎代謝の高い肥満しにくい体質に改善できる可能性が示唆された。

今回の研究成果は、肥満やメタボリック症候群の新たな予防法の開発につながることが期待される。また、M2マクロファージは肝臓や骨格筋など体内のほかの臓器にも存在していることから、研究グループは、「脂肪組織以外の臓器のM2マクロファージの役割も今後明らかにしていきたい」と述べている。

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