ドライアイのセルフチェック、最大開瞼時間の有用性を検証
順天堂大学は10月10日、ドライアイ患者では最大開瞼時間が有意に低下しており、涙液層破壊時間と正の相関が認められたと発表した。この研究は、同大医院眼科の村上晶教授、猪俣武範助教らの研究グループによるもの。研究成果は、「Scientific Reports」に掲載されている。
画像はリリースより
ドライアイは日本に2000万人、世界に10億人以上いると推測される最も多い眼疾患。ドライアイの原因は、加齢、ストレス、デジタル機器の使用時間の増加などがあり、ドライアイは今後も増加すると考えられている。
研究グループは、最大開瞼時間(まばたきをできるだけ我慢できる時間)のドライアイのスクリーニング検査としての有用性と、新ドライアイ診断基準(2016年)における最大開瞼時間のカットオフ値の設定のための検証を行った。
感度82.5%、特異度51.0%でドライアイの疑い
その結果、最大開瞼時間は、ドライアイの診断で必須の検査である涙液層破壊時間と正の相関を示し、ドライアイ患者では有意に低下していることが判明。最大開瞼時間が12.4秒以下の場合は、感度82.5%、特異度51.0%でドライアイを疑う可能性が高いことが示されたという。
今回の研究により、最大開瞼時間がドライアイの簡易スクリーンングとしての有用性が明らかになった。これにより、これまでドライアイと診断されないまま、ドライアイ症状でQOLや仕事の効率が低下していた人々に対し、セルフチェックの結果をもとにしたドライアイの啓蒙と眼科への受診を喚起することで、ドライアイの重症化を未然に防ぐことが期待される。
今後、研究グループは今回の研究成果をもとに、2016年11月にリリースしたiPhone用アプリ「ドライアイリズム」のまばたき測定機能の向上を検討。同アプリに搭載されているドライアイ疾患特異的質問紙票と組み合わせることで、より感度の高いドライアイのスクリーニングを行うことができるようになるとしている。
▼関連リンク
・順天堂大学 プレスリリース