鎮痛効果を示すが口腔内全ての感覚神経を遮断するリドカイン
国立がん研究センターとマルホ株式会社は10月1日、がん治療による口内炎の新規疼痛緩和薬について、全世界を対象とした独占的な開発・製造・販売権に関するライセンス契約および同化合物の共同研究契約を締結したと発表した。
抗がん剤や放射線などによるがん治療中には、口の粘膜が赤くなり痛みがでる口内炎など、さまざまな口のトラブルが起こる。がん治療による難治性の口内炎の痛みは食べる・飲む・話すといった患者の生活の基本行為を大きく制限する。がん治療中の口内炎に悩む患者には、その疼痛緩和にリドカインのうがいなどが用いられている。リドカインは鎮痛効果を示す一方、口腔内の全ての感覚神経を遮断するため、痛みの知覚に加え、味覚・食感の知覚も抑えられ、患者のQOLに影響を及ぼす。このことから、新たな疼痛緩和薬が求められている。
痛みの知覚を抑えながら味覚・食感の維持も期待
同化合物は、同研究所のがん患者病態生理研究分野(分野長:上園保仁)が日本医療研究開発機構(AMED)創薬支援推進事業・創薬総合支援事業(創薬ブースター)の支援を受け、抗がん剤・放射線治療等による難治性口内炎の疼痛緩和薬として見出したもの。痛みの知覚を抑えながら、味覚や食感の維持や作用時間の長期持続が、前臨床試験の結果より期待されている。
今後、国がんでは、研究所のみならず先端医療開発センター支持療法開発分野、中央病院支持療法開発センターにて、同化合物の臨床応用の可能性展開のための研究開発をマルホと共同で行う予定。その後、マルホは同化合物の治験を進め、両者協働で同化合物を有効成分とする新規疼痛緩和薬の開発を進めるとしている。
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・国立がん研究センター プレスリリース