軟部肉腫に次ぐ公開、希少がん対策の一環として
国立がん研究センターは9月27日、厚生労働省委託事業「希少がん対策」の一環として、希少がんの一種である眼腫瘍の専門的な診療が可能な52施設のリストとその実績を含む概要について、「がん情報サービス」で情報公開を開始したと発表した。2017年12月の手足・体幹表面の軟部肉腫診療施設に続く公開となる。
希少がんは、「希少がん医療・支援のあり方に関する検討会報告書」において、全人口で10万人当たり年間発生が6人未満の罹患率のがんと定義されており、患者数が少ないために他のがんよりも診療上・受診上の課題が大きいと考えられる。このような背景から、2013年8月の厚生労働省「希少がん医療・支援の在り方に関する検討会」の報告書に基づき、がん種毎の検討を行うために国立がん研究センターを事務局として「希少がん対策ワーキンググループ」が組織され、検討が行われてきた。
眼腫瘍は、希少がんのなかでは推定罹患数が少ないものの、国立がん研究センター希少がんホットラインで相談を受ける対象疾患の件数としては上位にあるという。また、患者や家族が診療を受ける際に困難を経験する可能性が高いことから、軟部肉腫(四肢軟部肉腫)に次ぐ希少がん対策の対象として、希少がん対策ワーキンググループで検討されていた。この度、ワーキンググループで専門施設の情報公開が必要という合意が得られ、一定の条件を満たす専門施設を全国から募集した上で今回のリストが作成された。
院内がん登録に参加していることが条件
今回発表されたリストの専門施設は、眼腫瘍の診断と治療を実施し、他の医療機関からの相談窓口・コンサルタントとして機能することに同意するとともに、眼腫瘍の患者を適切に診断・治療する体制と実績があることを客観的に検証可能とするため、院内がん登録へ参加していることが条件となっている。この条件に沿って、全国のがん診療連携拠点病院や各関連学会を通じて、専門施設の応募を募り、提供された情報の内容を確認の上、専門施設のリストを作成したという。
情報公開された項目は、眼内(網膜、ぶどう膜など)、角結膜、眼窩、眼瞼の各部位の代表的な腫瘍に対する診療件数や治療の実績、部位別の実施可能な治療内容や他施設との連携の実態などが含まれており、患者や医療者がこれらの情報を見ながら、受診先の施設や紹介先などを選択することができる。
なお、今回のリストの施設は、応募があった施設を対象に基準の確認をして公開したもの。受診先の手掛かりを提供することが目的であり、リストにない施設では診療が受けられないというわけではない。また、専門とする医師の異動などにより、公開された情報は変動する可能性がある。国立がん研究センターは、定期的に情報の確認を施設に依頼するが、変化の反映までには時間差があることを理解してほしいとしている。
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・国立がん研究センター プレスリリース