デンマークのルンドベック社と連携
武田薬品工業株式会社とデンマークのH. Lundbeck社(ルンドベック社)は9月28日、大うつ病性障害治療薬「vortioxetine」について、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを発表した。両社は日本における同剤の販売に向けた準備を進めており、現在販売戦略の策定を進めている。
大うつ病性障害(MDD)は、世界で約3億人が罹患している複雑な精神疾患。感情的症状、認知症状、および身体的症状を誘発することがある。その症状には、抑うつ気分、興味または喜びの著しい減退、有意な体重減少または体重増加、食欲の変化、不眠や過眠、精神運動焦燥または制止、疲労感または気力の減退、無価値感や過度の罪悪感、思考力や集中力の減退、決断困難、および反復的な自殺念慮が含まれる。
4つの主要な臨床試験の結果に基づき申請
vortioxetineはルンドベック社が創製し、日本では、武田薬品によって臨床試験プログラムが実施されている。同剤の抗うつ作用の機序は完全には解明されていないが、セロトニン(5-HT)の再取り込み阻害作用と5-HT受容体活性を直接調節する5-HT1A受容体刺激作用、5-HT1B受容体部分的刺激作用、5-HT3、5-HT1D、および5-HT7受容体拮抗作用などを有しており、セロトニン系、ノルエピネフリン系、ドーパミン系、ヒスタミン系、アセチルコリン系、ガンマアミノ酪酸(GABA)系、およびグルタミン酸系を含む、いくつかの系において神経伝達の調節を行うとされている。これらの作用の1つひとつが同剤の抗うつ作用にどのように寄与しているかについてははっきりとは分かっていないが、このような薬力学的作用を併せ持つ初めてかつ唯一の化合物であると考えられている。
今回の申請は、臨床第3相無作為化プラセボ対照試験(NCT02389816)の結果に基づくもの。同試験では、日本の成人再発うつ病患者約490例に、同剤10mgまたは20mg群、またはプラセボ群のいずれかを無作為に割り付けた。主要評価項目は、投与8週時におけるMontgomery-Asberg Depression Rating Scale(MADRS)合計スコアのベースライン(二重盲検期開始時)からの変化量で、同剤群がプラセボ群に対して良好な結果を示したという。この試験結果については今後、学会発表を予定している。さらに今回の申請は、他にグローバル(NCT01255787)および日本(NCT01355081、NCT01395147)で実施した主要な3つの臨床試験の結果に基づいている。
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・武田薬品工業株式会社 ニュースリリース