医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医薬品・医療機器 > 慢性便秘症治療薬モビコール配合内用剤、承認取得-EAファーマと持田製薬

慢性便秘症治療薬モビコール配合内用剤、承認取得-EAファーマと持田製薬

読了時間:約 2分
このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年09月26日 AM11:00

オランダのNorgine社から導入、両社で共同開発

EAファーマ株式会社と持田製薬株式会社は9月21日、両社で開発を行っていた慢性便秘症治療薬「(R)配合内用剤」(開発番号:AJG555)について、EAファーマが日本において製造販売承認を取得したことを発表した。

モビコールは、主成分のポリエチレングリコールの浸透圧効果により、腸管内の水分量を増加させ、その結果、便中水分量が増加し、便が軟化、便容積が増大することで、生理的に大腸の蠕動運動が活発化し、排便が促されることを期待した薬剤。海外では、欧州を中心に「MOVICOL」の販売名で既に販売されており、慢性便秘症の患者に広く使用されている。また、ポリエチレングリコール製剤は、小児においては英国のNICE(National Institute for Health and Care Excellence)のガイドライン、成人においては世界消化器病学会(World Gastroenterology Organisation)のガイドラインなどで使用が推奨されている。

日本国内においては、慢性便秘症に対してポリエチレングリコール製剤が未承認のため使用できない現状に鑑み、日本小児栄養消化器肝臓学会が小児の慢性便秘症に対する開発要望を「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に提出。その結果、2015年4月に開催された同会議にて、慢性便秘症に対するポリエチレングリコール製剤の医療上の必要性が高いと評価。厚生労働省より開発要請を受けた味の素製薬株式会社(現EAファーマ)は、オランダのNorgine社から同剤を導入し、小児および成人を対象とした経口の慢性便秘症治療薬として、、持田製薬で共同開発を行っていた。

2つのP3試験で自発排便回数が統計学的に有意に増加

今回の製造販売承認は、国内の2つの第3相試験に基づくもの。成人を対象とした第3相試験は、プラセボ対照二重盲検比較試験の検証期および非盲検長期継続投与試験の継続期からなっている。検証期において、自発排便回数が週あたり平均3回未満の状態が6か月以上持続している15歳以上の慢性便秘症の患者156例を対象に、プラセボまたは同剤を排便状況により1日2~6包を2週間経口投与した結果、主要評価項目である自発排便回数は、プラセボ投与群と比較して統計学的に有意な増加を示した。引き続き実施した52週間継続投与する継続期において、自発排便回数は概ね一定で推移したという。

さらに、小児を対象とした第3相試験(ベースライン対照非盲検試験)では、自発排便回数が週あたり平均2回以下の状態が2か月以上持続している2歳以上14歳以下の慢性便秘症の患者39例を対象に、排便状況により2歳以上6歳以下:1日1~4包、7歳以上11歳以下:1日2~4包、12歳以上14歳以下:1日2~6包を12週間経口投与したところ、主要評価項目である自発排便回数は、投与前と比較して統計学的に有意な増加を示したという。

EAファーマと持田製薬は、2018年4月に販売を開始した慢性便秘症治療薬である胆汁酸トランスポーター阻害剤「(R)錠5mg」と同様に、モビコールにおいても薬価基準収載後、同一製品名にてそれぞれ販売を行う予定としている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医薬品・医療機器

  • 子宮体がん一次治療で免疫チェックポイント阻害薬とPARP阻害薬の併用「薬物療法にパラダイムシフト」
  • ポライビー 、未治療のDLBCLに対する良好な5年データ発表-ロシュ
  • PTSDに対するブレクスピプラゾールP3試験、症状を有意に改善-大塚製薬ほか
  • ジョンソン・エンド・ジョンソン 肺がん領域に初参入
  • レポトレクチニブ「がん細胞が耐性を獲得しにくく、長期使用に期待」