今年度に行われる医薬品価格調査は、来年10月の消費税率引き上げに伴い、通常、薬価改定年には実施されないが、予算編成の観点から昨年度と同じスケジュールで実施されることになった。手代木氏は、医療費適正化に向けて毎年薬価改定をめぐる議論が進む中、今回の調査が「医療機関等の実質的な負担が増すことがないよう、消費税引き上げ分を適切に薬価へ転嫁することを目的に実施するもの」との認識を示し、特例的な調査としての位置づけであることを強調した。
1998年改定以来の大きな下げ幅となった今年4月の薬価制度の抜本的改革については、「薬価を引き下げる方向に偏ったものになったと言わざるを得ず、非常に厳しい見直しが行われた」と指摘。「イノベーションの推進の観点で進捗があれば良かったが、前回から新薬創出等加算対象品目では全体の3分の1、金額全体では4分の1が減少した」と振り返り、対象品目が過度に絞り込まれ、多くの企業の対象品目の薬価が維持されないという結果に対し、「品目要件・企業要件で対象品目が絞り込まれたのは忸怩たる思いだ」と不満を表明した。
今後2年間で薬価制度の抜本的改革に対する影響を十分に検証を行い、品目要件と企業要件の見直しを求めていくことを明らかにし、「イノベーションが適切に評価される薬価制度に向け、医薬品の価値を享受する患者だけでなく、医療界や政府、国民全体から理解を得られる環境を整えていきたい」と語った。
研究開発税制改正に向けては、「高水準型及び総額型控除上限の上乗せ措置」(選択制部分)の控除上限と総額型の控除上限を合算した、法人税の控除上限35%について、「最低限維持すべき」とした。オープンイノベーション型の研究開発を対象に与えられる控除上限5%を上乗せすると40%まで拡大するが、「諸外国に比べると大きく劣後している」と問題点を指摘。売上に対する試験研究費割合が高い企業へのインセンティブの拡充を要望した。