サルを対象にした長期毒性試験において予期しない毒性所見
そーせいグループ株式会社とAllergan社は9月18日、開発中の選択的ムスカリンM1受容体作動薬「HTL0018318」について、サルを対象にした長期毒性試験において予期しない毒性所見が見出されたため、その詳細を把握するまでの間、臨床開発を自主的に中断すると発表した。この中断は、患者を対象とした臨床試験における有害事象に基づくものではないという。
HTL0018318は、アルツハイマー病(AD)、レビー小体型認知症(DLB)、およびその他の認知症患者における認知障害に対する新たな治療候補薬として、臨床試験段階にある選択的ムスカリンM1受容体作動薬。同剤は、米国において第1相試験および日本でのDLB患者を対象とした第2相試験を実施中。すでにEUにおけるAD患者を対象とした後期第1相試験が完了しており、安全性と有効性のデータを現在分析中。
米国・EUの健康成人および軽~中度AD患者を含む約310人を対象に実施した試験データにおいて、同化合物の忍容性は良好であり、また日本におけるDLB患者対象試験で設定した最高用量を投与した28日間の臨床試験においても重篤な有害事象は報告されなかった。
これまで被験者に投与された用量と期間を上回る投与で
今回の中断につながったサルを対象とした長期毒性試験は、複数の用量で9か月間被験薬の投与を行ったもの。毒性所見(希少な腫瘍)は、これまで被験者に投与された用量と期間を上回る被験薬投与により観察された。他の動物に対する毒性試験では、いずれの動物種においても重大な有害事象は6か月までの投与で観察されていない。
今回見られた所見の発生原因は不明であり、両社の研究者が試験結果の精査を行っているという。両社は、米国食品医薬品局(FDA)と医薬品医療機器総合機構(PMDA)へ当該毒性所見と進行中である臨床試験の一時中断の報告を行った。また、すでに臨床試験が完了している他の国の規制当局に対しても報告を行った。
そーせいは、安全性に関する今回の事象の重大性および原因を特定し、今後の措置を決定するために徹底的な調査を行っており、その一環としてこれまでの非臨床試験および臨床試験のデータのレビューも実施する予定。さらに、毒性に関する所見の分析やその後の取り組みを行うため、実施していたAD患者およびDLB患者を対象とする第2相試験は最短でも6か月の延期が見込まれている。
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・そーせいグループ株式会社 ニュースリリース