十分に開発されていない練習用の模擬眼球
名古屋大学は9月12日、眼科手術シミュレータに搭載可能な緑内障手術用眼球モデルを開発したと発表した。この研究は、同大大学院工学研究科の新井史人教授、小俣誠二特任助教の研究グループが、東京大学大学院医学系研究科の相原一教授の研究グループと東京大学大学院工学系研究科の光石衛教授の研究グループと共同で行ったもの。研究成果は、第29回緑内障学会や国際学会「MHS2018」で発表され、第27回コンピュータ外科学会およびMHS2018等で展示を予定している。
画像はリリースより
近年、医学教育の効率化や難手術の効果的訓練が求められており、研究グループは、以前より精巧な手術シミュレータを開発してきた。一方、より侵襲性の低い緑内障手術用の治療器具が開発されているにもかかわらず、練習用の模擬眼球が十分に開発されていないため、医師が基礎学習や術前訓練を十分に行うことができなかったという。
柔らかい眼球モデル内に隅角構造を構築
今回の研究では、緑内障手術に必要な前眼部構造を形成することにより、近年の低侵襲緑内障手術に対応した眼科手術シミュレータを開発。世界に先駆けて、マイクロフックを用いた低侵襲緑内障手術に対応した眼球モデルの構築・搭載に成功し、一連の手術動作の訓練が可能となったという。
この眼球モデルは、柔らかい眼球モデル内に隅角構造を構築したため、十分な練習が必要な隅角レンズを用いた術中の観察の練習が行えるのが特徴。眼科顕微鏡を有する眼科医局やウェットラボを有する企業などで即座に低侵襲緑内障手術の練習を行うことが可能になるとしている。
今後は、古典的な方法である強膜薄切による線維柱帯切開術や切除術のシミュレーションが可能な眼球モデルとするため、模擬強膜の開発を行う予定としている。
▼関連リンク
・名古屋大学 プレスリリース