■来局者の受診勧奨を判断
筑波大学医学医療系地域医療教育学の前野哲博教授は、患者の主訴から診療に必要な情報を収集できる問診システム「問診ナビ」を開発し、薬剤師が来局者の症状に応じて受診勧奨を行うべきかを判断する症候診断の支援システムとして、調剤薬局やドラッグストアへの導入を提案している。患者自身が簡単な質問に回答するだけで、入力データが問診結果として自動的に文章化される仕組み。問診ナビの主訴リストにある徴候であれば、ほぼ研修医修了レベルの病歴収集を行うことができ、その情報を電子カルテに貼り付けることも可能だ。今後は調剤薬局の薬剤師が患者の病歴を聴取し、地域の多職種連携の中で患者情報の橋渡しに活用したり、ドラッグストアの薬剤師が地域住民の健康相談に役立てる。前野氏は、「かかりつけ薬剤師として地域で必要とされる存在になれるようサポートしたい」と語った。
従来行われている問診では、診療に必要な情報を集めるのに多くの時間を要するだけではなく、必要な情報を聞き漏らすリスクもある。さらに、一般的な問診票も患者一人ひとりで問診すべき項目が異なるにもかかわらず、同じフォーマットに記入してもらうために情報量が少なくなり、医師が問診をやり直さないといけないのが現状だった。