注目される生体を模した3次元の細胞モデルとその解析
オリンパス株式会社は9月10日、創薬市場の研究効率向上やリスク低減に貢献が期待できる3次元細胞解析技術を開発し、同技術を搭載したソフトウェア「NoviSight」を9月10日から米国で導入・発売したと発表した。
画像はリリースより
製薬・バイオテック市場では、難病や治療方法の確立されていない病気を克服するために、新薬の探索が行われている。一般的に、1つの新薬が発売されるまでに10~20年、費用は数百億円を要すると言われ、候補化合物が新薬になる確率は3万分の1と低く、開発リスクの低減と創薬プロセスの効率化が求められている。
この課題の解決策として、生体を模した3次元の細胞モデルが注目されている。3次元化した細胞モデルの代表例には、ヒトの生体構造に近いスフェロイド・オルガノイドがある。このモデルの活用により、生体に近い状態で新薬の効果や毒性の解析を行うことが可能となり、治験に至る前の段階で精度の高い結果を得ることで、製薬市場における開発リスクの低減と創薬プロセスの効率化に貢献することが期待されている。
塊状のスフェロイドを3次元で観察・解析
今回開発された「NoviSight」は、共焦点レーザー走査型顕微鏡「FV3000」シリーズなどと組み合わせて使用する3次元細胞解析用ソフトウェア。塊状のスフェロイドを3次元で観察・解析し、薬剤による細胞の生死や生存比率などを定量的に評価することができるという。
また、多数のサンプルを培養できるマイクロプレートを利用した統計的なデータ解析にも対応し、薬の種類や濃度を変えた際の薬効を簡単に比較することが可能。さらに操作時のインターフェースが自由にレイアウト可能で、分布図やヒートマップ、グラフなどの解析結果と観察画像を紐付けて確認できるため、ユーザーの効率的な作業に貢献するとしている。
▼関連リンク
・オリンパス株式会社 ニュースリリース