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【薬事日報調査】北海道地震、停電で操業影響-生産再開も物流網が一部マヒ

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2018年09月10日 AM10:15

6日未明に北海道胆振地方で最大震度7の地震が発生したのを受け、薬事日報は製薬、医薬品卸各社の医薬品製造や出荷に対する影響(7日現在)をまとめた。人的被害や物的被害はない模様で、停電による影響で操業を停止する工場・物流センターが多く見られたが、7日には徐々に停電が解消されており、生産や出荷の再開が始まっている。その一方、交通インフラでは鉄道やトラックによる配送が遮断されている地域もあり、医薬品の安定供給に支障を来している企業もあるようだ。

医療用医薬品とOTC医薬品を製造販売する東光薬品工業(東京都足立区)の釧路工場は、7日に電気が復旧し、生産開始の準備に入った。しかし、生産が再開されたとしても物流網が遮断され、釧路工場から道内外の医療機関に配送ができず、「安定供給に相当な影響が出るのではないか」(同社)という状況だ。「医薬品をコンテナ輸送しているが、JR北海道に復旧のメドが立たず、トラックによる陸送もパンク状態で、運送会社も荷物の受け取りを拒否している」(同社)。状況の改善を待ちつつ、今後の対応を検討する方針。

三和化学研究所の医薬品原料製造を行う北海道工場は、停電のため操業を中止。復旧のメドは立っていないが、各原料について十分な在庫があり、安定供給には支障がない。

日本血液製剤機構(JB)千歳工場は、6日に引き続き、停電のため稼働停止。従業員は、管理者だけ出社している状況。自家発電で対応しているが、主に製剤の冷却に使用しており、製造は行っていない。

日医工子会社で殺菌消毒剤を製造販売する「ヤクハン製薬」の北広島工場は7日午前で停電が続いており、稼働が停止している。安定供給には影響がないという。

輸液を製造している大塚製薬工場の釧路工場は、停電のため稼働を停止していたが、7日朝に電気が復旧したため、現在は稼働の準備中。輸液は基礎的医薬品であるため、在庫には余裕があり、稼働停止が続いても供給面で問題はないとしている。

武田薬品とアステラス製薬、武田テバ薬品、武田テバファーマの4社が共同で設立した北海道の物流センターは、停電が続いており、武田薬品コーポレート・コミュニケーション部によると従業員に待機指示をしているという。緊急の要請、受注には対応可能で出荷できる状況にある。

エスエス製薬の石狩市にある北海道物流センターは7日14時現在、停電のため稼働していない。道内のドラッグストアから受注を受けた分は手配済みで、在庫は潤沢な状態にある。現在停電の復旧を待っている状態。

札幌に物流センターを置くアステラス、佐藤製薬、、エーザイの子会社「エーアイ物流」も、停電による影響を受けたものの、通常通り稼働している。

ツムラの漢方薬原料となる生薬を保管する「夕張ツムラ」は、停電で稼働を停止しているが、必要な生薬量は在庫として確保しており、安定供給に問題は出ていない。道内における生薬生産地の被害状況は確認中。

北海道を地盤とする医薬品卸のモロオ(札幌市)では、自家発電装置を稼働して各拠点や物流センターは通常に運用できているが、今後、停電の影響で発電装置の燃料を確保することが難しい状況(燃料供給用のモーター電源)も懸念されている。電源を優先供給されている基幹病院を除く医療機関、診療所は停電の影響で休診しているところも多いが、停電が復旧し診療が始まっても、安定供給に問題はないようである。

全国展開する大手卸も概ね、北海道におけるデポ、物流センターは自家発電装置が稼働しており、また、コールセンター等の機能は他エリアへ切り替えるなど、今のところ医薬品流通関係業務に大きな問題は生じていない模様だ。

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