細胞接着性タンパク質を改良した組換えタンパク質
タカラバイオ株式会社は9月3日、同社が保有するレトロネクチンに関する特許の商業利用ライセンスを第一三共株式会社に供与する契約を締結したと発表した。
レトロネクチンは、ヒトフィブロネクチンという細胞接着性タンパク質を改良した組換えタンパク質。レトロネクチンを用いたレトロウイルスベクターなどによる細胞への遺伝子導入法は、レトロネクチン法として知られている。
今回の契約でタカラバイオが第一三共へライセンスした特許技術は、1)レトロウイルスベクターなどによる細胞への遺伝子導入時に、レトロネクチンを用いて遺伝子導入効率を向上させる技術(レトロネクチン法)と、2)レトロネクチンと抗CD3抗体を用いてT細胞を効率よく増殖させる技術(レトロネクチン拡大培養法)。同契約により、タカラバイオは第一三共に対し、タカラバイオが日本国内で開発を進める細胞・遺伝子治療製品「axicabtagene ciloleucel」の治験および商用製造におけるレトロネクチン関連特許の利用を許諾するとともに、当該目的で使用されるレトロネクチンを安定的に供給・販売する。また、タカラバイオはレトロネクチン販売に伴う売上に加え、同ライセンス・供給への対価を受領するという。
特許の商業利用ライセンス先は11社に
レトロネクチン法とレトロネクチン拡大培養法は、近年、実用化の期待が高まっているCAR遺伝子治療やTCR遺伝子治療などの遺伝子改変T細胞療法(Engineered T-cell Therapy)において、世界の標準プロトコールとして普及が進んでいる。これらの技術を組み合わせることで、治療用遺伝子導入細胞を大量に効率よく作製することができるという。
なお、今回の契約により、レトロネクチンに関する特許の商業利用のライセンス先は11社になった。タカラバイオは今後も、Engineered T-cell Therapyの臨床開発をすすめる企業・団体に対して、レトロネクチンの提供および技術導出を促進し、売上拡大に努めていくしている。
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・タカラバイオ株式会社 ニュースリリース